転職前に知っておくべき不動産営業の業種別実態と年収

「稼ぐ営業マン」というとまず思い浮かべるのが不動産の営業職ではないでしょうか。
反面、花形のトッププレーヤーの陰にはノルマに追われ、泥臭く這いずり回り疲弊する大多数の営業マンが存在するイメージも濃く、不動産営業は決して皆が羨望のまなざしを向けるようなキラキラ職種でもありません。

ただし、世間一般的には「不動産営業」とひとくくりにされている中にも業種・業態による様々な種類があり、年収水準もそれぞれ異なるのです。
ここでは、イメージだけで語られがちな不動産営業について、業態ごとの具体的な仕事内容とその年収について解説します。

目次


1.個人消費者に一番身近な存在 ―賃貸仲介(リーシング)営業-

1-1. 賃貸仲介(リーシング)営業は貸主と借主をつなぐ役割

一人暮らしを始めるとき、転勤先で家を探すとき、結婚して夫婦の新居を探すとき・・・そんなときにお世話になった人も多いでしょう。不動産にあまり詳しくない人にとっても身近な存在、それが賃貸仲介の営業マンです。
賃貸仲介営業は、家を借りたい人(エンドユーザー)と家を貸したい大家さんや不動産管理会社(オーナー)との間の橋渡しをして結び付けることが仕事。
日々の業務内容としては、

  • エンドユーザーからの問い合わせや相談に応じ、希望する賃料の予算や駅からの距離、家の広さや間取りなどを聞き取って、条件に合う物件を探す
  • 問い合わせがあった物件、希望に合致する物件の空室状況をオーナー・不動産管理会社などに確認する
  • 気になる物件があれば現地に案内して設備や立地についての説明をする
  • オーナーや管理会社との間で条件の交渉や調整をする
  • オーナーとエンドユーザーとの間で合意が成立したら契約の準備から締結まで一連の流れをこなす

などがあります。
契約にあたっては与信審査書類の準備、契約書・重要事項説明書の作成など細かい作業が発生し、個人情報を扱うことも多いため、手際よくかつ慎重に手続きを進める必要があります。エンドユーザーに対する重要事項説明、敷金や礼金・前払い家賃など契約金の振込、そしてオーナー、エンドユーザー双方の契約書への捺印が完了するまでが賃貸仲介営業マンの仕事です。

なお、賃貸仲介営業マンによく求められる資格として普通運転免許(物件を車で見に行くことが多いため)と宅地建物取引士(重要事項説明など宅地建物取引士だけが行える行為があるため)があげられます。

1-2. 賃貸仲介営業(リーシング)の平均年収は350万円

賃貸仲介の営業マンの給料は、多くの場合18〜25万円程度の固定給とインセンティブによる歩合給の合計額となります。インセンティブは企業によって設定がまちまちですが、一般的には5〜40%程度。また、不動産の賃料相場がエリアによって異なるため、会社が注力しているエリアによってインセンティブの金額も異なってきます。インセンティブはノルマとされている目標数字を超えた部分に会社で設定されている料率を掛け合わせた金額となるため、目標数字も転職の際には確認をしておいたほうが良いでしょう。
賃貸仲介営業では平均年収が350万円前後。
その中でも稼げる営業になるためには、エリアや競合他社の状況に関わらず月に15本程度の契約をコンスタントに稼ぎ続けることがまずは大事です。

2.不動産周りの知識と折衝能力はお手の物 ― 売買仲介営業 ―

2-1. 売買仲介営業は買いたい人と売りたい人をつなぐ役割

売買仲介営業は、個人で所有しているマンションや一戸建てを仲介する業態と、企業や富裕層、不動産ファンドなどが保有している一棟マンション、オフィスビルを仲介する業態の二つに分かれます。

2-1-1. 個人所有の不動産の売買仲介

個人所有の不動産の売買仲介は、不動産を売りたい人と買いたい人の間に立ち交渉をまとめる、というのが大枠の仕事内容。
基本的な流れは以下のようになります。

① 不動産を売りたい人を探す
最近ではWebを使った一括の見積もり(査定)依頼ができるようになったりしていますが、まだまだ不動産業はITリテラシーが高い業界とは言いがたく、チラシを作成しマンションへ投函をしたり、新聞に折り込みチラシを入れて不動産を売りたい人の情報を収集します。

② 査定の依頼がきたら想定売値を算出して売主に提示する
周辺物件との対比や過去の売買の成約事例との比較などから想定の売値を算出します。

③ 売値について売主の了承が得られたら媒介契約を締結
媒介契約は「私はあなたに売るのを任せます」という意思を示すもので、専属専任媒介、専任媒介、一般媒介のいずれかの種類のものを売主と仲介に入った不動産会社との間で締結するものです。

④ 売主から売却を任された不動産を購入したい客を探す
チラシの投函を始め、同業の仲介不動産業者への情報提供、ポータルサイトなどを活用したWeb上でのプロモーションを通じてその不動産を買いたい人を募ります。ただし、売買契約が成立した時に仲介業者が得られる報酬は成約価格の3%+6万円が上限と宅地建物取引業法上定められているため、そこから逆算して妥当な金額で無事売却まで成立させることも売買仲介営業マンの腕。売るためとはいえ、やみくもに販促費用をかければいいというものではありません。

⑤ 購入見込み客が見つかったら、売主・買主双方が満足する契約へつなげる
ここからが売買仲介営業マンの存在感を発揮する一番のポイントになります。
つまり、売主と買主双方が納得し、満足する状況を作り出し売買成約まで導くのが売買仲介営業マンとしての価値なのです。合意成立後は、賃貸仲介営業と同様に契約行為へと進
みます。企業によっては、そこから先は契約実務を行う部門へ引き継がれるケースもありますが、売買契約の締結まで一連の業務ができることが一人前の売買営業マンには求め
られます。
また、不動産の購入には税金の問題や銀行融資なども関わってくるため、不動産そのもののに関する知識だけでなく、幅広い専門知識が求められるのも特徴的です。

2-1-2. 法人やファンド所有の不動産の売買仲介

基本的な流れは個人を相手にした仲介と流れは変わりませんが、取り扱う不動産の金額が億単位になることも珍しくなく、多数の関係者が取引に絡んできます。そのため、関係各所をきちんとコントロールし、契約までこぎつける対人折衝力や調整力が不可欠です。
また、不動産は千三つと言われる業界。多くの情報が流れる中、本当に価値のある情報が何かを見極める力も必要になります。
つまり、営業マンとして設定されている目標に対してどのようなアプローチで攻めるのか、営業マンとしての戦略の道筋の立て方に勝ち負けが委ねられているということです。戦略を考えるにあたっての柔軟な思考力や発想力、さらに複雑なプロセスを計画的に進めていく段取り力など多岐にわたる能力が求められます。

2-2. 売買仲介営業の平均年収は550万円

大手不動産仲介会社、東急リバブルの平均年収として公表された600〜700万円を一つのベンチマークとしておくのが良いでしょう。
ただし、不動産売買仲介営業の場合は営業成績によって年収が大きく異なります。
特にオフィスビルや商業施設の仲介を行うような会社では取引額が一件あたり何十億にものぼり、仲介手数料も一契約で何千万単位になることがあります。売買仲介営業マンは成果によってインセンティブの金額が大きく変動するため、億単位の契約をまとめれば20代、30代の若手でも1000万円を超える年収を得ることも可能です。
なお、業界としての平均年収は550万円程度。賃貸仲介営業と比較をすると年収レンジはかなり高いことがわかります。

3.販売計画をプロモートする戦略家 ― 不動産販売(デベロッパー)営業 ―

3-1. 不動産販売(デベロッパー)営業は売り切るために広範囲を奔走

不動産販売(デベロッパー)営業は、マンションの販売がメインの仕事。
(※ここではいわゆる投資用マンションの販売ではなく、居住目的でマンションを購入する人を対象に建設販売するデベロッパーについて解説します)
マンション販売では多くの場合、業務はプロジェクトごとに管理され、「○○プロジェクト」と立地を由来とする名前が付けられてチームを組んで販売にあたります。
チームにはプロジェクトマネージャーと呼ばれる販売の責任者と、来訪したお客様対応をするメンバーが所属。プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体の予算や進捗を管掌し、予定されている期間内に販売対象住戸を全て売り切る責任を負います。その仕事は多岐にわたり、マンションのコンセプトの決定、販売戦略の立案、広告戦略の立案、お客様対応の責任者としての業務などを行うため、マーケティングリサーチ会社から広告代理店、管理会社まで幅広くタッグを組みながら、広範囲にわたる知識を駆使して物事を進めていきます。
主にマンションの販売を担当するメンバーは購入を検討してもらえるお客様に対してモデルルームや販売会場への来訪を促進するために周囲へチラシを撒いたり、看板を掲示したりという泥臭い仕事から来訪時の対応まで行い、その業務内容は多岐にわたります。
接客時にはマンションの仕様や構造に関する知識はもちろん、購入時の税金に関する知識も必要とされ、高い専門知識も必要です。そのためデベロッパーでは宅地建物取引士の資格は早期に取得しておくべき資格とされており、資格がないと昇進に影響してくるような会社もあります。
なお、デベロッパーの一員として自社の物件を販売する営業マンであるか、他社の建築した物件を販売する受託販売型をメインとする営業マンであるかによって厳しさは変わってきます。受託販売型をメインとする企業では営業マンの売り上げが会社の利益に直結するためより厳しく営業成績を求められるという背景がありますので、転職の際には会社の業態をよくリサーチしておくことをおすすめします。

3-2. 不動産販売(デベロッパー)営業の平均年収は高額に

不動産業界は三菱地所や三井不動産、野村不動産といった超大手から中小のデベロッパーまで組織規模が多岐にわたります。大手であれば20代でも年収700〜800万円と高水準、企業としての平均年収になると1000万円を超えます。
これがマンション専業のデベロッパーになるとそれなりの企業規模でも平均年収が700〜800万円程度となり7、8掛けのイメージ。デベロッパーは景気の変動にも大きな影響を受けるため転職にあたっては不動産業界の展望・見通しをきちんと確認しておきましょう。
なお、受託販売型をメインとする不動産会社では業務上の厳しさはありますが高収入を目指すことも可能です。多くの場合、インセンティブは販売したマンションの戸数によるため、売れば売るほど年収は上がっていき、20代でも1000万円を超える営業マンが多く存在します。

4.まとめ

いかがでしょうか。
以上のように、不動産業界では「営業」とひとくちに言っても業態によって待遇や厳しさが大きく異なるため、どのようなスタイルで働くのが自分にとってマッチするのかをよく考慮に入れた上で働くフィールドを選択することが重要です。
ただ、業態によっては若いうちでも成果さえ出すことができればインセンティブで高額を稼ぎだすこともでき、魅力的な業界であることは間違いありません。

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