【完全版】営業とは何か―営業の本質と真髄、その全てを学ぶ

3.「営業」とは、顧客と自社の双方に利益をもたらす職業である

さて、ここまでは「営業」について形式的な部分をお伝えしてきました。
広義では「営業=企業活動」と捉えることもできますが、一般的には「営業=営業職」を指します。

では、「営業」という職業の本質はどういうものでしょうか。

営業とは、
・顧客に対して価値を提供し、
・顧客と自社双方に利益をもたらす

ことを本来の目的としています。かなり概念的な話ですが、業種・営業手法にかかわらず全ての営業職の果たすべき役割はこの2点に集約されているといえます。

特殊な知識や技能を要することではないため、営業職が未経験でもチャレンジしやすいフィールドであるといわれる所以でもあります。

これを詳しく見ていきましょう。

3-1. AIDMAの法則 ―顧客側の視点で「営業」を考えてみよう―

「営業とは?」と聞かれると、うっかり答えてしまいそうなのが、自社の商品やサービスを売ることですが、残念ながらこの回答だと0点。営業活動の結果の1つにもちろん「自社の商品やサービスが売れること」がありますが、営業行為は決して自社の商品やサービスを売ることではないのです。

まず、買う側の立場に立って考えてみましょう。
自分が商品やサービスを購入する時は、どのような思考回路で購入に至りますか?

そこにある商品やサービスを見て、いきなり「これを買おうか買うまいか」と考える人は圧倒的にマイノリティで、そこに至るまでの間にはいくつかの段階を経ているのが普通です。

購入行動に至るまでのプロセスの考え方で有名なのはAIDMA(アイドマ)の法則
Attention(注意)⇒Interest(関心)⇒Desire(欲求)⇒Memory(記憶)⇒Action(行動・購入)という5段階を経て購入に至るという考え方です。
要するに、商品やサービスを認知し、感情を揺さぶられ、購入・消費行動に至るというステップを踏むということです。

「営業」を「自社の商品やサービスを売ること」と考えている人は、「自社の商品やサービスを説明している人」になりがちです。つまり、商品やサービスを顧客に認知させているに過ぎず、購入までのプロセスの第一段階で止まってしまっています。
商品やサービス自体の付加価値が高かったり、他との差別化が図れているような場合は、その後のステップが自動的に顧客の中で進んでいき購入に至る場合もありますが、それでは営業マンはいらないのです。

3-2. 提供すべき「価値」は商品・サービスだけではない

もちろん、顧客に対して一次的に提供する「価値」は自社の商品・サービスそのものです。これは営業マンとして主たる目的であって、顧客側も商品・サービスの提供を受けることを最終目的として取引をするわけです。
ただ、実は顧客側においては、商談を通じて潜在的に求め、感じている価値が他にもあります。
それは、”タイミング価値””ブランド価値””付帯サービス価値””営業担当価値”の4つ。これらはあくまでも商品・サービスに上乗せされる付加価値で数字には表れないものですが、これらによって顧客が商品やサービスそのものに更なる価値(AIDMAの法則でいうところのI(=Interest)とD(=Desire))を感じることができ、取引成立にもつながるのです。
これらの付加価値をいかに高めるか、ということこそが営業職の醍醐味ともいえます。

3-3. 「モノ」ではなく「コト(=ソリューション)」を売る

前章の内容にも関連しますが、営業は「顧客に商品やサービスを売り、自社の利益を稼ぐ」それだけの仕事ではありません。
営業の本質は、「顧客の利益を増やすことで自社が利益を得る活動」です。
きれいごとに聞こえるかもしれませんが、これは営業手法やスタイルこそ違えど優秀な営業マンなら誰しも実践していること。つまり、自分や自社の都合だけを考えて行動していてはいつまでたっても売れる営業にはなれないのです。
顧客の利益を増やすには、顧客の視点に立って顧客のためにどういうコトが出来るか(=ソリューション)を徹底的に考えて提供することが必要です。
「モノ」ではなく、「コト」を売る。
それが、顧客の課題解決につながることで利益をもたらすこともあれば、顧客の新規市場開拓のきっかけとなって利益を生むこともあるでしょう。

自社の利益は必ず、顧客の利益の上に成り立っていること。
これを忘れずに実践することが、営業職の本来果たすべき役割であるといえます。

4.営業の「仕事」は7段階のプロセスを踏んではじめて完結する

さて、営業の「本質」についてわかったところで、今度は具体的な仕事内容に移ります。
実は営業活動というのは「商談する」⇒「売る」だけではなく、細かく見ると7段階ものプロセスから成り立っていることをご存知でしたか?
以下、順を追って見ていきましょう。

4-1. プランニング(情報収集と仮説設定、顧客の想定・リスト化)

まずとりかかるのは、いわゆるマーケティングです。プランニングが弱いと、どれだけ後工程の能力が高くても的外れな行動となり、成果が出しづらくなります。そのため近年はこのプロセスが重要視される傾向にあり、企業によっては「マーケティング部」が営業とは別にあるなど分業されていることも。

4-2. アプローチ(リード獲得)

次の段階はアプローチです。
アプローチとは「リード(=見込み客)」を得る手段であり、主に以下の2種類の手法があります。
アウトバウンド・・・いわゆる飛び込み営業やテレアポによる能動的な手法
インバウンド・・・広告や口コミ、ホームページ、チラシ、DMなどで網を引き、見込み客側から問い合わせをもらう受動的な手法

4-3. ヒアリング(ニーズ把握・明確化)

見込み客との間での対話(対面・電話・メール等)を通じて状況や課題・悩み・問題点を聞き出し言語化し明確化します。このとき、見込み客側がすでに認識している顕在的ニーズだけでなく、意識していない潜在的ニーズを引っ張り出せるか、気づけるかが最大のポイントになります。

4-4. プレゼンテーション(解決策の提案)

一般的に”営業”と認識されている商談・交渉の場であり、営業の「本番」です。
ヒアリングで聞き出したニーズに対してソリューション(解決策)を提案します。ニーズがずれていれば第一段階からやり直し、解決策が弱いと改善した上で再提案(場合によってはリトライできないことも)となります。4-1から4-3までのプロセスにおける手腕が試される、重要かつ厳しい工程です。

4-5. クロージング(解決策の合意・契約の締結)

さて、プレゼンテーションが終わり、いいね、欲しいね、などの言葉だけでは、当然、双方合意に基づく売買契約に至ったとは言えません。「発注書」「契約書」「申込書」など正式に書面による契約を交わし、代金をもらってはじめてクロージングできたと言えます。きちんと、入金管理まで追うことも大切です。

4-6. アクション(商品・サービスの納品・実行)

クロージングで満足して油断することなく、合意した期日(納期)までに商品・サービスを納品・実行まで責任を持つことも営業マンの仕事です。ここでミスをするとせっかく太鼓判を頂いた商品やサービスが逆にクレームとなり、訴訟となる可能性も。

4-7. アフターフォロー

最後のステップは顧客の満足度(利益)を最大化するため、アクション後もしっかりアフターフォローをすることです。商材や業界によってはリピート購入もあり、おざなりになりがちですが、最後の最後で顧客満足度を下げてしまわないためにも徹底すべき重要な工程です。

7ステップのプロセスについて、イメージできましたか?
全体の流れを俯瞰して見ると、営業の7プロセスはビジネスの基本と言われているPDCAサイクルそのものです。
営業には商品知識やコミュニケーション能力なども必要になりますが、基本的にはこのPDCAサイクルを回すことで成果を出すことが仕事であるため、未経験でもチャレンジしやすい職種となっています。

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