年収1000万プレーヤーへの転職(6) 外資編

給与水準の高い企業が多い外資系

外資系企業は全般的に給与水準が高く、若くして1000万円を超える収入を得る人の数が多いだけでなく、1500万〜2000万程度の水準となるような高所得者もいることで知られています。

終身雇用意識の強い日系企業と比べると、人員構成が30代を中心として即戦力のプレイイングマネージャーに偏っている傾向が強く、プロスポーツ選手のように短期間に集中して稼ぐようなライフスタイルとなっています。

日本の外資系企業は、アメリカ発グローバル企業の営業拠点としての位置づけが強く、業種では金融、ソフトウェア、IT・通信、経営コンサルティング、医薬品メーカーなどの大手企業が参入しています。

キャリアアップと転職がセット

外資企業も参入形態によって、社風は多少異なります。純外資のケースでは海外本社の組織改正のつど、日本法人の社長や上級マネージャーが送り込まれてくることも多々あります。

また対照的に、日本市場の独自性を重視して日本人幹部を主体とするフランチャイズのような組織構成をとっている企業も一部あります。日本オラクルやセールスフォースドットコムなど法人向けの営業を必要とする業種にこの傾向が強く、日本法人社長以下、経営層のポジションを日本人が占めています。

どちらのケースでも最終的な組織決裁権は本国にあり、日本アイビーエムのように創業から長らく日本独自の組織を維持してきたものの、リーマンショック後の業績不振を機に本社直轄の純外資スタイルに切り替える企業も出ています。

日系企業とくらべると短期的に変化の大きい業界のため、10年スパンのキャリアアップを計画することが難しく、つねに転職を視野に入れたキャリアプランが前提となります。

外資系=実力主義とは言えない

外資企業には終身雇用、年功序列といった前提はほぼありません。ただし、年功序列でないからといって必ずしも実力主義で昇給・昇格するわけではない点には注意が必要です。

日本は官僚的な文化でトップが変わっても実行部隊の組織は変わりませんが、米欧では猟官制(スポイルズ・システム)の発想が強く、トップが変わると組織が根こそぎ入れ替わることが当然と考えられています。

そのためマネージャー以上の出世には政治力学的な影響が強く、出世する人に気に入られていることが飛躍のきっかけとなる傾向があります。一般にはドライな企業文化と見られている外資企業ですが、昇進については日本の企業以上にウェットであるという見方が有力です。

それでも業績をあげれば短期的に高給

昇進に安定性がない一方で、毎期の評価で業績をあげればボーナスなどでリターンを得やすいのは事実です。

例としてあげた日本オラクルは、外資としては珍しく東証に上場しているため、平均年収のデータがあります。2014年決算の有価証券報告によると、平均年齢40.1歳、平均年収1,010万円、平均勤続年数7.6年と平均で1000万の水準を突破しています。

主力のライン職の水準はこの平均より高いと考えられるため、30代の1000万プレーヤーが多くいることや10年程度で転職していることが読み取れます。オラクルは外資の中では比較的和風な企業で、証券などの金融やコンサルティング業界ではより短期高収入の傾向が強くなります。給与水準が高い分、結果へのコミットメントも強く求められ多忙な日々を送ることになりますが、長期的なキャリアプランを先送りにしないことが重要です。

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