適性検査とは

適性検査とは、企業人事・採用や学校の選抜の目的で実施するテストです。

広く利用されている適性検査を大きく分けると、能力テストと性格テストの2系統があります。

能力テストはスクリーニング向き

能力テストの多くは、学校のテストに近い学力テストです。

企業の新卒採用などで広く能力テストが行われている理由は、「論理的思考などの知的能力が、10年以上の長い目で見たときの仕事上の将来パフォーマンスとの相関が比較的高い」からです。

日本では新卒一括採用の慣行が根強く、企業の選考体力を超える応募過多が起きがちであるため、一次スクリーニングの目的で活用されている傾向があります。

選考精度を向上する性格テスト

性格テストは受検者の性格特性を多角的に分析するツールです。

職務態度や対人スタンス、うつ傾向などは能力テストでは測れず、客観的な指標として性格テストが普及しています。

面接選考には「書類情報に引きずられる」「第一印象だけで判断しやすい」「4分程度で採否の結論を出しがち」という弱点があり、バイアス補正の手法を持たないと見誤りがちであることが知られています。

能力テストは学力に応じた得点で優劣がつきますが、性格テストについては、各職場に適した特性とのフィット感を個別に判断するため、一律の正解は存在しません。

ただし、嘘を含めた”自分を良く見せる傾向”の存在については広く知られているため、分析結果と面接時のイメージのズレの大きな人物は不適とされます。

適性検査による公正な採用のバックアップ

雇用の際の身分や門地などによる差別をなくすため、企業は自社の職務への適性で採否を判断する公正な採用選考を求められています。

適性検査は客観的・機械的な分析により適性の判断材料を提供するツールであり、公正な採用のための基礎として活用できます。

また、面接のみの選考プロセスの場合に起こりうる、コネなどの極端に偏った縁故採用に対して、一定の牽制をかける機能も果たします。

適性検査を活用している場合、ある採用基準と著しく矛盾する人物を採用するためには相応の説明責任を求めることで、特定の人間関係が著しく有利になる問題を減らせます。

また、リファーラル採用の負の側面である「採りたいから、という理由で採ったら適性が合わなかった」事象をふせぐにも面接以外の手法が必要になります。

判定利用と適性検査の対策について

適性検査がどのように利用されるかは、各企業の使い方によります。

能力テストについては、短期の事前対策学習の効果は”心の平安を得られる程度”ということが知られており、テスト結果だけで採否判定するような極端な運用でない限り、結論に大きく影響することはないと考えられます。

性格テストについては、面接の際の印象形成に利用するため、前述のとおり正解がなく、したがって対策もありません。

ただし、面接時とのイメージのギャップについてはマニュアルのとおりに注意します。

参考文献『人事アセスメントの科学』