トラブル社員を見抜く:社内外で言った言わない問題が続発する

◆デキる人材の生産性を下げるトラブル例

  • お客様から部下に対するクレームが頻発し、謝罪行脚ばかりで腹立たしい
  • 知らぬ間に不利な条件で部下が話を進め、交渉の仕切り直しを途中参戦で自分がやることになりイライラする
  • 周囲の期待だけ膨らませて裏切りを続け、不信感をもったメンバーのフォローに時間をとられて憤りを感じる
  • 緊急時でも絶対に電話に出ず、非常に迷惑
  • 居心地の良い場所ばかり足繁く通うのをどう制止しても振り切り、コントロール不能で嫌になる

これらのトラブルを引き起こす原因は、トラブル社員が「不誠実」だから。嘘をつくまでは至りませんが、意図的に組織崩壊を仕掛けてきます。

上司・先輩を中心に周囲をかき回し、デキる人の労働時間を浪費させます。「経験を積めば良くなる」「鍛えれば改善する」ということも起こりえず、組織に入れないことが肝要です。

◆「自分だけは傷つかない方法をとろう」がトラブル社員の本音

事象だけでは、「少しルーズな奴」「トラブルに巻き込まれがちな可哀そうな後輩」に見えるかもしれませんが、トラブル社員の本音ではとんでもなくヒドいことを考えています。

  • そろそろ仕事している感を出さないと注意されるので、うまくいっている話をかましておこう
  • お客について不利な状況を報告すると先輩の指導が煩わしいので、うまく進んでいるように見せよう
  • お客さんと交渉しろと言われて提案書を渡されたけど、何を言われるか不安なので使わずにテキトーに頷いて商談の場を流そう。
  • 着信はいきなり何を言われるかわからないので無視して、何度も来たら諦めてこちらから折り返そう

◆人に対して不誠実な性格が元凶

自己中心、自己防衛が行動・言動の基準となっている「不誠実な性格」がトラブルを招く原因です。

手厚く優しく面倒を見ても、トラブル社員の本心では「余計なお世話」「口うるさい人」と感じているため改まることはなく、どんな忠告・アドバイスも頭に入りません。

損害を与え続け、生産性を落とす要因となるためとにかく入口で防いで入れないことが重要です。

パーソナリティテスト『Decider』 を用いれば「不誠実人材」を見抜くヒントが得られます。

「仕事の基礎体力」が100を下回る人は見送り、101~110の場合は面接で厳しくチェックしましょう。

◆採用選考での「不誠実人材」の見抜き方

次のような思考回路がないか、面接を通して見抜くと良いでしょう。

「分が悪い」「まずいことが起きている」という戦況は理解しているが、自分がとばっちりを受けたくない一心で、嘘をついたり騙したりする思考の癖があります。

特にギリギリで嘘にならない線を維持し、明確な嘘はつかないため、高い基準で見る必要があります。

<仕草・態度>

目が泳ぐ、話している際に織り交ぜる愛想笑い、切り込んだ質問をした時に驚きを隠した笑いをするのが特徴的です。

「いい人に見られたい」欲求が強く、当たり障りないように振舞う傾向にあります。

愛想笑いで流そうとする、はりついた笑み、落ちを求めた時に落ちが出せない、「どうしたいか?」と突っ込むと質問で返す、断言を避けると言った仕草や言動があった場合には要注意です。

<面接での効果的な質問>

1.どんなトラブルが多かったですか?

コミュニケーション不良によるトラブル事例が上がります。原因や感想を聞いてみると、言いがかりをつけられた、社内で訳がわからないこと言われた、無理難題を押し付けられた・・・など他人や環境のせいにする傾向があります。

トラブルについて、可能な限り詳細がわかるまで質問してください。

2.(新規開拓営業について)どう思いますか?(職種に合わせて内容を変えてください)

●●もあれば▲▲もある、という答えのない一般論を述べて終わります。意見を出すことや議論は徹底的に避ける傾向にあり、「逆にあなたはどう思いますか?」と質問で返してくるパターンもあります。

場を流す能力に長けているため、よくわからないうちに次の質問に行かなければならない雰囲気になりますが、立ち返っても健全な議論の場にならなければ難しいと判断しましょう。

<職務経歴書での見抜き方>

在籍年数が徐々に短くなっている人は赤信号。年齢が上がることによって期待される職位を全うできなくなっている可能性が高く、不誠実な人ほどすぐにバレ、居づらくなり辞めます。

◆選考で起こりがちなミスジャッジ

「いい人に見られたい」という欲求が強く、物腰柔らかで表情も明るいため、雰囲気で“全く問題のない優秀な人材”と評価しがちです。

また、不利な状況を流す話術にも長けている点も要注意です。面接中に引っ掛かりを感じても話題をすり替えられ、判断しづらくしてきます。

不誠実人材は、面接のような「対面」「短時間」「単発」という条件下で好印象を与えることが最も得意ゾーン。あえて「電話」「長時間」「面接官が同席」のどれかを使うと見極めやすくなります。

◆不誠実人材に向いていないポジション

社内外と綿密なコミュニケーションが必要、納期厳守、コンフィデンシャルがつきまとう仕事は向いていません。

上司や先輩が尻ぬぐいに追い回されることが多く、管理コストも含めると損害は甚大です。

管理は諦めた方が良く、受動的に仕事ができる現場系の仕事(例えば工場の生産ライン)や店舗の接客、他に勝手に伸び伸びとやっても問題がない業務であれば被害は最小限に抑えられるでしょう。