第二新卒で大手への転職 成功するのはこんな人

大手志向は変わらず上昇気流。
だけどそもそも大手ってどんな会社?

ここ数年、特に2010年のリーマンショック以降は学生世代の安定志向が高まる傾向にあり、それにともなって新卒で大手企業への就職を志す人も増えています。
また、大手企業の側も引き続き新卒採用に積極的で、中小企業などでは大手の内定出しがひととおり終わるまでは実質的に採用活動ができないと言われるほど、新卒で就職活動中の学生と大手企業は「両思い」状態です。

では、ここでいう「大手企業」とはどのような会社を指すのでしょうか。
そもそも**「大手企業」に明確な定義はなく、人によってその捉え方や線引きの基準はまちまちとも言えます。
おそらく毎年新卒就職活動の人気ランキングで上位を占めるような超有名企業は世間的にもいわゆる大手であると認識されていることと思いますが、大抵の場合は
「イメージ」で語られる部分も大きい**のではないでしょうか。

さて、新卒からの人気も高い大手企業ですが、実は第二新卒で大手への転職を希望する方も少なくありません。

ただし、大手企業の場合は特に、新卒と第二新卒ではだいぶ話が変わってきます。
そんな中、第二新卒で大手への転職を狙いたいと思っている人には、ぜひ改めて自分の進みたい方向性を見定めていただければと思います。

行きたいのは本当にその会社?
安易に大手にしぼる前にまず考えたいこと

第二新卒の転職理由というと、主に前職への不満やミスマッチ、会社を選び間違えた後悔によるものがほとんどです。
ところが、大手企業志望の場合は
・業績、将来の安定性が高い会社で働きたい
・福利厚生や給与体系、組織体制などが整った会社で働きたい

など、大手志望なら誰しも挙げる(もしくは当たり前すぎて挙げない)ような理由が目立ちます。

確かに、リーマンショック時などは実際に多くの企業が事業縮小、ひどい場合は倒産などに追い込まれたこともあり、将来を考えたときに「安定性」を求める思いはどうしても抱きがちです。福利厚生や給与体系についても高待遇を期待するのは誰しも同じですし、組織や制度が整っているということは会社組織として重要なのは当然です。

ただ、それだけが理由では単に「ネームバリューのある会社で働いて社会的ステータスを手に入れたい」といった動機なのではないかと疑念を抱かれてしまいます。
また、確かに世の中「絶対につぶれない会社」といわれる有数の企業もありますが、今や大手企業でも倒産し得る時代です。しかも、大手企業ほど窮地に立たされたときに生き残るための施策として大幅な人員削減などを実施することがある中、大手企業に入れば自分の社会人としての身分が安定するとは言い切れません。

更に、第二新卒の皆さまにはあえて厳しいことを言いますが、大手企業はそのネームバリューゆえに新卒採用を通じた若手社員の動員に困ることがないため、応募は受け付けたとしても**「またすぐに辞めてしまうのではないか」というリスクのある第二新卒の採用を積極的には行おうとしません。
**
それを踏まえた上でもなお大手企業を志望する理由、またはある特定の大手企業を志望する確固たる理由がなければ、目指す方向性を考え直した方がいいでしょう。

中小企業の方がスキルの幅は広がることが多い。
自分の適性や希望は果たしてどっち?

「大手企業のほうが中小企業よりも大きな仕事に携わることができる」
これは果たして本当でしょうか。

事実、事業の幅や規模からいっても、大手企業の方が「大きな仕事」をしているのは確かかもしれません。
ただ、自分自身がその中でどこまで関わることができるかというのはまた別問題です。

大手企業ではその巨大な組織ゆえに、業務分掌がかなり細かく切り分けられており、多数の支社や部署の設置による分業、ポジションごとの職務権限の厳格な規定などがあります。よって、一般社員には**「細分化された仕事」が下りてくる**ものです。
少なくとも社会人歴の浅い社員にその仕事の全容が見えるような複数部署・関係者を取りまとめるような役割や、重要顧客との交渉・調整・判断などが任されることはないと言っていいでしょう。

中小企業の出身者で「やっている仕事が小規模でやりがいがない」「世界規模の仕事をしたい」などと言い、大手への転職を希望する人がたまにいますが、社会人経験が3年程度(またはそれ未満)の身分で関わることができる仕事の範囲はむしろ大手企業よりも中小・ベンチャー企業の方が広く、かつある程度の裁量権を持たせてもらえる場合も多いのです。

今は中小企業・ベンチャー企業にも成長企業、優良企業は数多くあります。
その安定性について自身で判断することはなかなか難しいかもしれませんが、今後の自分自身のスキル獲得やこなせる業務範囲の拡大にあたっては大手企業にこだわる必要性はさほど高くないはずです。

※「何がしたいか」より「どう働きたいか」で選ぶ、第二新卒の転職ノウハウはこちら

大手に行って成功する第二新卒の特徴

では、第二新卒で大手に転職して成功するのはどんなタイプなのでしょうか。
端的に言えば、

  • 一社目で比較的長く(丸3年程度)在籍して実績をつけた人
  • 突出したスキルや技術があり、それを活かしてすぐにでも活躍できる人
  • 既に成果を出せる能力を身につけていて、実際に前職で成果をあげている人

など、第二新卒とは言っても即戦力となる人であれば、大手への転職で成功する可能性があるでしょう。
逆に、入社一年目、二年目で前職を退職するなど、 理由はともあれ「短期間で会社を辞めた」と見られてしまうような人は土俵に上がることもなかなか難しくなります。
高学歴の人などは大手でも人事の目には留まるとは思いますが、よほどのピカピカな経歴でなければそれだけで第二新卒のマイナスイメージを払拭することは困難です。

第二新卒で大手への転職を成功させるのはかなりハードルが高いという事実を認識いただけたかと思います。
自分の人物特性と経歴、スキルレベルを見極めて大手を狙うのが本当にいいかどうか、改めて考えた上で今後の転職活動に役立てていただければ幸いです。

※ 「 第二新卒のための転職成功ノウハウ(面接・履歴書・職務経歴書対策) 」はこちら ※ 迷ったら、視点を切り替えてみよう 「やりたいことがわからない中での転職先の選び方」