【営業の転職】本音はあり?受かる!「転職理由」「志望動機」例文集

単刀直入に質問します。
転職理由や志望動機に対して、
「本音を言ってはいけない」あるいは「本音をそのまま書いても採用されない」
と思っていませんか?

確かに、企業側の人事担当者や面接官に「この人に会ってみたい」「この人と働いてみたい」と思わせる転職理由や志望動機を作るには、ちょっとしたコツが必要です。

そこで、今回は“営業職のための”効果的な転職理由・志望動機に使える例文・サンプルを解説付きで紹介させていただきます。
(志望動機の一般的な作成手順については、 実は簡単!転職面接での「志望動機の伝え方3つのポイント で解説しています)

営業職の本音 志望動機としてアリかナシか

営業職ならではの退職理由や志望動機というものが存在します。
「もっと稼ぎたいから」というポジティブだけどマイナスな印象を持たれそうなものや、「もっと休みたい」「楽をしたい」というマイナスっぽい本音はどうなのか・・・元人事責任者がここでハッキリとしてスッキリしてもらいます。

Case1. もっと稼ぎたい 給料を上げたい

営業経験者に最も多いこの理由・・・本気でそう思っているならアリです。

この動機そのものにマイナスの印象は全くありません。「営業=稼ぐ」ことは周知の事実だからです。
ポイントは、企業は応募者の力を徹底的に見極めようとするので、本気で稼ぎたいと言えるかどうかです。

企業が確認したい力とは、営業力がホンモノか、「組織感」「チームワーク」を持てるか、の2点です。

<営業力がホンモノか>
もっと稼ぎたい⇒自分は力があるので発揮すれば、もっと稼げるハズだ
という意味ですよね?
その営業力が、現職(前職)の商品やサービスの切れ味が良いだけだったり、業界・業種が好景気でどの会社のどの営業も自然と売上が上がっている・・・ということが無いかどうかを確認したいのです。
なので、応募者としての対応策はただ一つ、「経歴を元に自分の稼ぐ力(営業力)は高い」ということを証明することしかありません。

<「組織感」「チームワーク」を持てるか>
この項目は意外かもしれませんが実は、人事担当者には稼ぎたい想いが強い=一匹狼というバイアスがかかりやすいのです。
営業の同僚を押しのけたり、アシスタントを顎で使うような態度に出る確率が高いのもまた事実だからです。

なので、対応策としては、「売上は一人で作るものではなく、チームで作るものだ」という信念と自分の社内での関係作りのエピソードを合わせて話すと、面接官も安心するでしょう。

もっと年収を上げたいなら 年収1000万円プレーヤーへの転職 稼げる営業になるカギとは も読んでみましょう。

Case2. 営業は好きだけど土日は休みたい

条件付きでアリです。

多いのが、「結婚したので」「子どもが産まれたので」などライフステージの変化や、「体力的にきつくて」という身体的な理由をよく聞きます。
面接官も人なので、もちろん理解はします・・・が、残念ながら「一緒に働きたい」とはなりません。

上記のような、“外的要因によるきっかけ”は隠す必要はありませんが、面接官としては、「営業として短時間で集中して利益貢献したい」という動機が欲しいのです。

会社批判になり過ぎないように、効率化による生産性のアップを動機として伝えられれば、非常にプラスの印象になります。
もちろん、労働集約型の企業に対しては「何だコイツ」となりますが、それは自分も望んでいない環境なので、ミスマッチが早い段階でわかり良い結果を得られるでしょう。

Case3. 営業はつらいから他の職種に変わりたい

志望動機としては、絶対にナシです。
営業から企画職やマーケティング職、事業企画や事業開発職、もしくは事務職など異職種への転職もたくさん見てきました。

つらさ・きつさなどは、自分の精神論でしかなく、誰にでもつらい仕事も無ければ、誰にでも楽な仕事もありません。どんな職種であれ、その環境に合わせられなければ「つらい」のです。
つらくても、つらいことを志望動機にしてはいけません。
ただし、近年注目されている「ブラック企業」では話は別です。その場合、つらい・きついが転職理由となって採用担当者の理解を得ることは出来るでしょう。その場合、主観で“つらい”だけなのか、いわゆるブラック企業なのかは、きちんと見極めましょう。特に残業への考え方は、企業によって異なりますので、気になる場合は面接の場で聞いてみるよ良いでしょう。

では、営業から異職種への転職はどういう志望動機にすれば良いのか?
「営業として培った経験・スキルを活かしてチャレンジしたい」という前向きな志望動機にして採用担当者に伝えましょう。
職種ごとに求められるスキルは異なります。

営業がつらいと思っている人は「 営業のきつい業種ランキング~つらいときは営業からの転職も考えよう 」の記事も参考にしてみてください。

Case4. 営業職になって稼ぎたい

言わずもがな大アリです。

どんな職種を経験しているにしても、営業未経験で営業職に就きたいと考えている人は、どの企業でも受け入れてくれます。
それが稼ぎたいという動機であっても問題ありません。むしろ、ストレートにわかりやすく花丸を付けたくなります。

会社としては、稼げる営業は1人でも多い方がプラスなので思いをぶつければ良いでしょう。
詳しくは1-2で説明していますのでご参照ください。

1.転職理由と志望動機の例文・サンプル集

企業側は、どのような営業を採用したいと考えているでしょうか?
簡潔に5つのポイントをお教えしましょう。

  • ・現職で何らかの実績を上げている
  • ・仕事に対して意欲的
  • ・数字へのこだわり、熱い想い
  • ・ストレス耐性の高さ
  • ・汎用性のあるスキル(コミュニケーションスキルなど)

企業側の期待に沿って転職理由と志望動機を作ることができると、圧倒的に通過率が高まります。

この章では、パターンに沿って具体的な内容をご紹介します。

1-1. 経験を活かす!営業スタイルを変える転職

事例1 ルートセールスから新規開拓営業へ

■ 転職理由
「現職では、既存のお客様への販売斡旋を中心としたルートセールスに就いております。7年間この業務にあたってきた中で、いつしかお客様への商品提案が最も楽しく達成感を得られる業務となり、日々のお客様との対話を通じて『この人には次はどんな商品がいいだろうか』『どのタイミングでこの商品を提案してみようか』などと考えることを楽しみに仕事にあたっておりましたが、そのうちに、営業の対象が限定されるルート営業ではなく、自分自身で営業先を選んで見つけ、新規で提案を行うことができる新規開拓営業に挑戦してみたいと思うようになったのが転職を決意したきっかけです。」

■ 志望動機
「貴社の営業職は、営業マンがお客様を自ら新規開拓するだけでなくその後もお付き合いを続けられること、また、並行して新規開拓も積極的に行えることに魅力を感じ、応募いたしました。
営業のゴールは商品を売ることではなく、商品を購入していただいたお客様にその後も満足してもらうことに仕事のやりがいを感じております。この信念から、ご提案した商品に対するアフターフォローの質にはこだわって参りました。これまでお客様の信頼を得てきた営業スタンスを維持しつつ、新規開拓にあたっても持ち前の提案力と行動力を活かし、貴社でも成果を出していきたいと思います。」

<解説POINT!>
転職理由では現在の仕事の進め方に触れつつ、自分の思いややりがいと感じていること述べていますが、その「やりがい」をより達成するためには営業スタイルを変えることが必要であることを簡潔に説明しています。
そのうえで、志望動機では自分のやりがいを満たすものが応募先の企業にあること、これまでのこだわりと自分のスタイルをどのように今後活かしていくかが明解に書かれており、わかりやすくまとまっています。

事例2 個人営業から法人営業へ

■ 転職理由
「前職では、個人向けの訪問営業に5年間携わってきました。お客様への定期的な訪問やお電話による会話の内容を必ず記録し、移動時間中に適宜読み返すなどしながらお客様の興味・関心を把握することでニーズを読み取り、その時々に応じた喜ばれる提案を差し上げることができました。自分の提案がお客様の暮らしを便利にする、そんな影響を与えることに何よりも喜びを感じておりましたが、自分の提案がより広範囲に亘って影響する法人営業にフィールドを広げてみたいとの思いから転職を決意しました。」

■ 志望動機
「貴社の顧客企業様の業務効率化を図るシステム〇〇〇〇について、事業規模や予算、人員数や組織体制など、個別の状況に応じて提案を行う業務にあたる営業職を募集していることを知り、応募させていただきました。〇〇〇〇は柔軟なカスタマイズが可能なため顧客ニーズを的確に掴むことができればクライアント企業様に対して大幅な効率化につなげることができると感じております。また、貴社のあくまで顧客目線で企業様に接する営業スタイルにも強く惹かれ、これまでの個人営業での経験を活かしたクライアント企業様の細部に亘るニーズの把握を通じ、貴社の事業に貢献していきたいと思い志望させていただきました。」

<解説POINT!>
前職で自分がこだわり工夫してきた点、個人営業の経験から得た細やかな気遣いができる点をアピールしつつ、「自分の提案が他人に影響を与える」ということにやりがいを感じていることを述べ、営業スタイルを変えることで自分の欲求がより満たされることを結論として書き、転職理由としています。
志望動機では応募先企業やその商品についてよく理解した上で応募していることがわかる書き方となっています。

1-2. 営業に初挑戦!営業未経験での転職

事例1 事務職から営業職への転職(営業未経験)

■ 転職理由
「前職では総務部で事務職に就いておりましたが、小さな組織なので社外の方からの様々なお問い合わせやご相談などの電話対応を行うことが多く、顔が見えない中でも常に相手の反応や思いを想像しながら、好印象を与えるための声のトーンや表情、言葉の選び方やその場ごとの臨機応変な対応を工夫して仕事にあたって参りました。
私は本来お客様を担当することはないものの、一度問い合わせを頂いた方から名指しで再度お電話を頂くこともあってお客様に喜ばれる幸せを感じるようになり、社内で営業職への転向希望を出してみたのですがポジションに空きがなく、叶いませんでした。その後半年間、総務部での仕事を続けて参りましたが、やはりどうしてもお客様と直接接することができ、顔が見える仕事である営業職への夢を諦めきれず、転職を決意しました。」

■ 志望動機
「貴社の商品〇〇〇〇は前職でも実は使用させて頂いておりました。そこにあるのが当たり前で誰もが便利に使っておりましたが、これも貴社が初めて開発し新たに世に生み出した商品だと存じ上げております。また、貴社における商品開発事業も私自身楽しみにさせて頂いており、ぜひ新たな商品を広めていく一員になりたく、貴社を志望しました。
営業は未経験ですが、〇〇〇〇を実際に使用していたものならではの視点も顧客目線に立つために役立てつつ、前述の電話対応のほか、総務部で社内の様々な要望にも主体性を持って取り組んで応えてきた経験も活かし、まずは私自身が貴社の営業手法をしっかりと学び一日も早く戦力になりたいと思っております。」

<解説POINT!>
転職理由では営業職に興味をもったきっかけを具体例とともに説明し、前職では自分の希望が満たされなかった経緯、自分なりにした工夫や努力について説明しています。

「会社が~~してくれなかった」「前職では~~させてもらえなかった」など受け身な表現で不満を述べるのではなく、その不満を解消するために自分がどんなアクションを起こしたか、という点をあわせて書くことはとても大事です。
また、未経験での営業への転職の場合、それまでの経験・スキルとして対人スキルなど部分的に活かすことはもちろん可能ですが、今後身に付けるスキルの方が圧倒的に多くなります。そのため、上記のように前向きな姿勢をアピールすることが大切です。

事例2 販売職から営業職への転職(営業未経験)

■ 転職理由
「前職でのアルバイト期間を含めた5年間、アパレル業界で店舗での販売職として勤めてきました。3年目には副店長、4年目には店長となり、12人のスタッフをまとめ毎月の施策を打つことでカード会員数や売上予算の達成と昨年超えをして参りました。「待ち」のスタイルである販売では、コミュニケーション能力と売上管理能力をつけることができましたので、「攻め」のスタイルである営業職で、もっと売上を作るための営業力をつけていきたいと思い、転職活動をしております。」

■ 志望動機
「自分を追い込んで売上達成力をつけられるよう、自分の売上と報酬が連動する生命保険業界を考えております。BtoC営業であるため、慣れ親しんだスタイルである点も魅力に感じています。その中でも御社を志望したのは、御社の商品が本当にお客様に寄り添った企画をされていると感じているためです。御社の魅力的な商品の拡大の一助になれるよう、これまでに培った経験・スキルに行動力をつけて、積極的に活動し、貢献したいと思っております。」

<解説POINT!>
販売職から営業職への最大の転換ポイントは、「待ち」から「攻め」への転換です。販売職と営業職の違いをきちんと理解していることを出しましょう。
販売職で培った「コミュニケーションスキル」「社交性」「積極性」「傾聴力」「熱意」をアピールしつつ、「成長意欲」をアピールすると良いでしょう。また、陸の孤島となりやすい販売職から営業職への転身となると、本社や営業所内の他社員との関わりが必ず発生します。人間関係を築くのが上手であることもアピールできると良いでしょう。

本音は、不規則な生活を止めたい、もう少し自由に働きたい、立ち仕事では体力の限界を感じる、事務仕事の自信はないから消去法で営業職・・・などネガティブなものも多いと思います。しかし、面接官には“甘え”と見られることが多いため、転職理由や志望動機として言わない方が良いでしょう。

1-3. 業界別!異業種の営業職への転職

異業種への転職は「営業職で異業種への転職。成功する秘訣とは」を参考にしてください。

事例1 広告業界から飲料メーカーへ(営業経験者)

■ 転職理由
「現職の広告代理店では、営業職として電機メーカー・飲料メーカー・通信会社などの顧客を担当し、中小企業ながらも〇〇〇〇のプロジェクトではプロジェクトリーダーとして大手企業も複数社参加したコンペを競り勝つ成果をあげるなど、仕事に熱を注いで参りました。一方で、もともとヒトが好きだったこともあって営業職に就いているのですが、広告業界では取り扱う商品が直接ヒトを介在するものではないため、ヒトとより深く関わることができる仕事に就きたいという思いもなかなか捨てきれずにいました。キャリアを積むためにも8年間現職での仕事を続けてまいりましたが、やはりメディアを通じて事業会社の外から消費者に働きかける広告業界よりも、消費者と直接向き合って作り出す商品やサービスに携わりたいという思いが徐々に強くなり、このたび転職を決意した次第です。」

■ 志望動機
「自分が関わる商品がヒトの生活に密着していて、毎日手に取っていただけるという点で、より消費者に近い部分を担うことができる飲料メーカーに魅力を感じております。その中でも貴社の商品が時代の最先端を牽引していること、またそのネームバリューによる安定にも関わらず常に新たな開発に取り組み次々に新商品を生み出す挑戦心あふれる貴社の社風に惹かれ、その商品を世に広めていく一助を担いたいと考え、志望いたしました。
メーカーでの経験はありませんが、これまでに培ってきた法人営業におけるコミュニケーション力と提案力を活かし、貴社とともに挑戦していきたいと思っております。」

<解説POINT!>
営業経験者の異業種への転職事例です。
転職理由では前職と応募先企業、それぞれの業界の特性に触れ、自分が営業という職種に就いている理由と関連させて異業種への転向を考えた理由を説明しています。
志望動機では、応募先企業が転職理由となった「消費者に近い」業種であることに加え、応募先企業の社風にも触れ、志望動機の具体性を高めています。
「業種」を軸に転職活動している場合、企業それぞれの特色による動機は用意した方が良いでしょう。企業ごとの内容が抜け落ちてしまうと、「この業種ならどこでもいいのだろう」と見られてしまうため、企業研究はより一層意識した方が良いでしょう。

事例2 医療機器メーカーへの転職(営業経験者)

■ 志望動機
「私は、患者の命を守るだけでなく、ときにその生活の質までも進化させる医療機器の製造に大きな『夢』を感じています。
医療の発展はいつの日も人々の望みですが、それを叶える最たる手段となり得るのが医療機器の進化だと考えており、その進化を世に広める役割を担う医療機器メーカーの営業職は社会において極めて重要な立ち位置にあります。営業マンが医療の進歩において取り沙汰されることはありませんが、自分の売った医療機器が広まり、より多くの患者が日常生活を快適に過ごすことができればこれ以上の喜びはありません。
その中で、貴社の製品はその技術力のみならず、社会からの大きな信頼のもとに世界的に広まっていることから、私もその信頼の一部を担いたい思い、貴社を志望しました。
私は日頃からお客様との間で長期にわたる強い絆を築くことをモットーとしておりますが、医療の世界においてこの長期にわたる信頼はなくてはならないものだと考えております。これまでの経験を活かし、貴社、そして社会に精一杯貢献させていただきたいと思っています。」

<解説POINT!>
医療機器業界はある種特殊な業界です。
本質的には業界による優劣などないのですが、医療機器の世界では商品(製品)の単価や製造・販売ロットが大きく、それを売る営業マンの責任は極めて大きくなります。また、顧客となりうる先が限定的であるため、ひとつひとつの顧客の重要性も高く、営業マンが顧客から信頼を得られ、その信頼を継続できる人格の持ち主かどうかという点が評価のポイントとなります。
そのため、志望動機でも自己PRでもそうですが、信頼を得るにふさわしい内容とすることが必要です。

事例3 食品メーカーへの転職(営業経験者)

■ 志望動機
「私は、『食』の大切さについてよく考えます。
健康とエネルギーを維持するために必要なのはもちろんですが、それ以上に『食』は人々に『幸せ』をももたらすことができる、私たちの暮らしになくてはならないものです。いまや飽食の時代と言われていますが、今も昔も美味しいものを食べたときの笑顔や輝いた表情、また、家族や友人と一緒に食べて『美味しいね』と言い合える時間は人生における幸せそのものと言えるような気がします。
そんな『幸せ』を提供する食品業界において営業として人々に笑顔を届けたいと思ったのが今回の転職のきっかけです。
貴社は中でも、温故知新ともいうべきスタイルで伝統的な食材も大事にしつつ、○○○○のように新しい製品で世の中に楽しい驚きを与えてくれたりと、まさに『食』を楽しみ、かつ何よりも大切に扱っている会社だという印象を持っています。また、『食』は進化するものだと思っておりますので、貴社のような会社で私も改めて学ぶとともに新しい知識やトレンドを取り入れ、『食』の大切さを次世代に受け継ぐ役目を担いたいと思います。」

<解説POINT!>
食品業界は人気の業界なので、志望動機も通り一辺倒にならないよう注意が必要です。
上記の事例では「食」に対する熱意を語り、楽しく営業に取り組めそうなスタンスを出しています。
また、応募先企業を志望する理由についても、企業の製品の特色、自身の「食」に対する思いと将来やりたいことをつなげて述べることで一貫性を持たせています。

1-4. 営業から他職種への転職(女性編)

事例1 営業職から事務職(営業事務・営業アシスタント)への転職

■ 転職理由
「現職では生命保険会社の営業職に就いています。もともと人と接することが好きなので営業職を選んだのですが、現在のような個々の成果に応じて報酬や評価が決まる、競争の多い個人プレイが中心の営業職には違和感を抱えていました。また、今後長く働いていきたいと思っている中で、ほぼ完全歩合制の現在の給与体制では生活基盤に不安もあり、安定して働ける環境と職種に移りたいと思い、転職を決意しました。」

■ 志望動機
「人が好きだからこそ、周りと協調して進めるサポート職が自分には向いているのではないかと今は考えています。
現職でも、周りと競って自分ひとりの成果をあげるよりも上司や同僚のサポートとして動いた仕事の方がやりがいを感じることができました。事務職の経験はありませんが基本的なPCスキルはございますし、これまでの営業経験を活かして営業の方々が動きやすいサポートもできると思い、この度御社の営業事務職に応募させていただいた次第です。
貴社の社内団結を重んじる社風の中で、現場でお客様と直接やり取りをされる営業職にとって長きにわたり最高のサポート役となれるよう、日々努力したいと思います。」

<解説POINT!>
営業職から事務職への転向はネガティブなイメージを抱かれがちですが実はよくある話です。
臆することなく、今後どのように自分の経験や特性を活かしていこうと考えているのか、自信と熱意をもって語りましょう。
転職理由においては特に、マイナス面を必要以上にオブラートに包もうとすると変な憶測を呼んでしまう可能性があるので、前職での状況と自分の意向との違いなどは具体的に書くことをおすすめします。ただし、その中でも余計なことを書きすぎたり、ただの悪口になったりしないようにすることは鉄則です。

2.転職理由・志望動機の前提となるキャリアプランを固める

さて、例文をたっぷり見たところで、ここからは転職理由・志望動機の「考え方」についてお話ししたいと思います。

まずみなさんは、履歴書や職務経歴書を前にして「さあ、どう書こう・・・」といきなり転職理由や志望動機、自己PRなどをそれぞれ別々に考えようとしていませんか?
採用を勝ち取れる内容を書くためには、その前にやっておくべきことがあります。

それは、自分のキャリアプランを固めること。

「キャリアプラン」というと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、実は難しいことではありません。そして、ここが固まっていないと軸がどうしてもぶれて転職理由や志望動機に説得力を持たせることができず、面接での受け答えも曖昧になってしまいがちです。

ではどうすればいいか。
まずは自分のキャリアを逆算して考えることからはじめます。
逆算する、というのは、つまり将来から今に向かって遡って考えることを意味します。
以下、順を追って説明します。

2-1. 理想とする将来像を思い描く

最初に考えるのは自分が最終的にたどりつきたいと思う自分の将来像。
将来、どうなりたいですか?
将来、どうありたいですか?

あまり具体的なディテイルにこだわる必要はありません。
自分が将来こうありたい、という理想像を思い描いてください。

例えば、将来の自分は営業を続けているのかどうか。
どのくらい稼いでいたいのか。企業に属しているのか独立しているのか。
幹部や管理職としての道を進んでいるのか、プレーヤーを貫いているのか。
これらはあくまでも一例ですが、自分の将来像はイメージできましたか?
できたら、次のステップに進みます。

※ 理想とするならこんな人? 「決定版。営業職の転職で活躍する人物特性」

2-2. 「現在の自分」を把握する

次は「現在の自分」について。
先ほど描いた将来像に対して、今の自分はどのくらいの位置にいるんでしょうか。
現在の自分の状況をきちんと把握します。

今、達成できていること。
今の自分が持っている営業スキルや特性。
逆に、今自分が抱えている弱みや課題。

現在の自分の姿を、きちんと把握します。

このステップにおいては、自分ひとりで考えるのではなく、周りの人の意見も聞いてみるといいでしょう。自分には見えていない自分の姿から見えてくる自分の強みや弱みも意外とあるものです。

2-3. 今の自分が次に手に入れるべきものに焦点をあてる

「将来像」と「現在の姿」がそれぞれはっきりしたら、次は自分の将来像に近づくために、今の自分に足りないもの、手に入れたいものが何かを考えます。
それこそが転職理由であり、志望動機なのです。

つまり、転職理由・志望動機とは、
① 自分は将来こうなりたい
② そうなるために、今の自分にはこれが足りない
③ 今の自分に足りないものを手に入れるために、それが手に入るところに行く

と道筋立てて考えれば自然とそこに一本の「筋」が通り、説得力が生まれるものなのです。

ありがちな志望動機の真実を、よく使われる「志望動機」は逆効果! 3分でわかる面接官の本音と対策でお伝えしています。ぜひご覧ください。

3.履歴書・職務経歴書の書き方 ポイント別解説
考えを言語化しよう

キャリアプランを固めることで、自分の転職理由と志望動機がなんとなく見えてきたと思います。
次はそれを言語化するステップに移ります。

3-1. 転職理由は今の自分に足りないもの
―― 今の自分に足りないものが今の職場ではなぜ手に入らないのか

転職理由(退職理由)は、つまりは「今の自分に足りないもの」を手に入れるため、ということになります。
裏返せば、今の職場では「今の自分に足りないもの」が手に入らない、あるいは非常に手に入れづらい、ということです。

では、今の自分に足りないもの、手に入れたいものは何でしたか?
なぜ、今の職場ではそれが手に入らないのでしょうか?

それを言葉にすれば、それが転職理由になります。
前職の退職理由については、隠し立てしようとせずはっきり伝えるようにします。
但し、ここで気をつけていただきたいのは、前職に対するただの悪口にならないようにすること
転職するのですから、前職に何らかの不満がある場合がほとんどだとは思いますが、その不満が単なる自分のわがままや忍耐力のなさと受け取られてしまわないよう、その不満に対してどのように対処したか、その結果どのような状況になったかなど、不満がありつつも自分なりに努力や工夫を重ねたことを示すことが必要でしょう。

3-2. 志望動機は自分が今手に入れたいもの
―― 今回の転職で叶えたいことは何か

さて、次に志望動機ですが、これは前章に記載した「今の自分に足りないもの」「手に入れたいもの」が、応募先企業でなら得られると思うに至った理由と、それをどのようにして得ようと思っているかを伝えましょう。
つまり、「今回の転職で叶えたいこと」を明確にし、自分の営業スキルや人物特性と、転職先の企業での仕事を掛け合わせた結果がそこにどう結びつくのかを体系立てて説明することになります。

このためにはまず応募先企業のことをきちんと理解していることが必要です。
その企業のどこに自分にとって魅力と感じているのか
理解した上で、自分が興味を持っている点を(社風や理念なのか、商品・サービスなのか、それとも仕事内容そのものか)を、その理由とともに伝えましょう。

更には自分がその仕事に就いたときに、
・どのように自分のスキルを活かすことができるか
・応募先企業での仕事が自分にとってどのようにメリットとなるか
・企業側に与えることができるメリット
の3点をアピールするようにしましょう。

4.まとめ

今回は営業の転職における転職理由と志望動機の書き方についてレクチャーしました。
例文はあくまでも参考に、自分自身の明確かつ具体的な転職理由と志望動機を完成させ、転職を成功させましょう!

営業職について詳しく知りたいという方は、 「【完全版】営業とは何か―営業の本質と真髄、その全てを学ぶ」 を参考にしてみてください。