年収800万円プレーヤーになれる人・なれない人 職種・職業別の状況

キャリアアップのストーリーを考えるうえで、年収800万円という水準はまず最初に目指すべき重要なステップとなります。

資本金10億円以上の企業では、年収800万円台のサラリーマンは約51.8万人で給与階層全体の9.4%を占めています(出典:国税庁「民間給与実態統計調査」平成25年分)。人数ボリュームのある階層としては800〜900万の水準がトップクラスとなっており、ハイクラス層への分岐点としてのステージと位置付けられます。

企業規模と収益性にもよりますが、800万円水準ともなると、企業または部門の活躍人材として積極的に認められているケースが多いといえます。

平均年齢46.6歳、平均勤続年数22.3年というデモグラフィックの数値から考えると、出世の起点としての階層に始まり、最終的には50代ミドルクラスの処遇としても一般的な水準という傾向が読み取れます。

平均勤続年数22〜24年の給与レンジは800〜2,000万と広く分散しているため、40代を迎える前に実力と実績を身につけておくことが重要になります。

年収800万の典型は活躍層のプレイングマネージャー

とくに30歳前後の若手の場合では、将来的に部長以上に昇格していくことを期待されている活躍層のプレイングマネージャーに設定される典型的な待遇水準です。

最低限、ミドルマネージャーとしての適性を示せるかどうかで、年収800円プレーヤーになれるかどうかが決まります。

ライン系の職種では、課長ポジションを中心に、企業ごとの収益性に応じて部長〜主任の上位クラスまで幅広く含みます。スタッフ職ではミドルマネジメント層以下のポジションはライン職よりも評価されづらいということもあり、部長やシニアマネージャー級ということも多くあります。

外資系企業やコンサルタント、SEの場合は、そもそもの水準が高いことや常態的な残業などの影響により、新卒2〜3年目の駆け出しプレーヤーの年収レベルとして早々に達成していることも多々ありますが、職種の市場価値として広く評価されるものではないため実力値と過信しない方が良いでしょう。

マネジメントの初歩を身につける段階

典型的な課長職の特徴は、人事権を持たない範囲で組織チームプレーへの貢献を求められるということでしょう。

それまでのプレーヤーとしての仕事では上司に言われたことを実行する、ということが中心でしたが、課長・主任ともなると日々の課題に対して単に報告するだけでなくエースプレイヤーとして解決のための対案を主体的に提言することも求められます。

また、組織化の進んだ企業では、チームを持ってミドルマネジメントの初歩に取り組むケースが多くなります。

組織編成は本部長・部長などより上位で検討されることが多く、人事権こそ持っていませんが、割り当てられたチームの運営は課長を通じて指揮されるというルートになります。

チームの運営にあたり、多くの企業ではMBO(Management By Objectives:期単位の目標設定・評価によるマネジメント)のプロマネとして役割を与えられます。組織目標を自分のチームのタスクにブレークダウンし、期初・期中・期末を通じてチームメンバーがゴール達成できるよう導いていく訓練を積みます。

分析・調整力が重要

課長はマネージャーの補佐というポジションでもあり、部署で達成すべき目標の一部タスクを責任を持って実行することが求められます。

このステージの難点は、個人レベルの業務からチーム化することで把握すべきタスクが増え複雑化することです。

また、これに伴って期初に設定したチーム目標と乖離することが起こるため調整力が問われます。

ただ、損益などの直接のゴールというよりはKPI(Key Performance Indicator: 主要な活動指標)に分解されているケースも多いため、この段階ではまず正確な状況認識のための分析力を身につけることが重要です。

課題を的確に特定できれば、部長と相談のうえアクションを再設定できます。「 年収1000万プレーヤーの転職(1) 職種・職業・仕事別の状況 」で解説したとおり、部長の立場ともなると状況を総合して判断する力も求められるようになりますが、分析力がその前提スキルとなります。

1000万級を目指すためには800万クラスの早期達成が重要

このように課長クラスの業務はマネージャーの要素が新たに加わります。この段階ではまだ活躍プレーヤーとして自らの腕前で事態を収拾してしまうという力業が有効ですが、昇進するにつれじょじょに通用しなくなっていきます。

課長の段階で人を動かすスキルを身につけることが、その先の1000万プレーヤーを目指すためにとても重要なのです。

そのため、30代以降の活躍を想定すると早期に課長ポジションにつき、マネジメントのパラダイムにいち早く慣れておくことがポイントになります。

一方、課長以上のポジションともなると、企業ごとの収益性によって枠の数が限定されます。

部署の数が劇的に増えることはないのです。そのため、企業の成長が鈍化すると若手の成長機会にも影響が出ます。

日本は課題先進国であり、構造不況に突入してからもう20年以上経過していますから、若手キャリアの観点ではリスクが増えるような圧力が働いています。

現実問題として30代後半以降に転職しようと考えた際、能力は高くても年齢なりのマネジメント経験が積めていないため進退がとりづらくなるケースが増えつつあります。

高度成長期ほどの上昇志向がない世代になってきたと言っても、プレーヤーとしての市場価値を確保するためには30歳前後に適切なキャリア負荷は重要であり、以前よりも転職という選択肢の重要性は高まっています。