なぜ人材が育たないのか 原因と対策

原因は「社員」と「職場」の両方にある
長年、経営者や管理職の悩みとして多くの企業が抱える「人材が育たない問題」。 特にゆとり世代が社会人になってからは、ビジネスの世界に留まらず社会問題となっています。 新入社員、若手、管理職・・・対象社員の立場や社歴は様々です。 まずは人が育ち、成果を上げるまでのイメージ図を交えて育たない原因を探っていきましょう。
成果を出す営業の採用基準
図のように、社員(木)は性格特性(根っこ)によって仕事環境(土)や外部環境(光・空気・気温・湿度など)を介して養分・水分を吸収し、知識・スキル(枝葉)を身に着け、成果(果実)を上げます。 つまり木が育つには、 ①木に合った土・気温・水分 ②健康的な根っこ の両方が必要なのです。 人材に当てはめると、育たない大きな原因は ①人材に合っていない職場環境(業界環境) ②不健全な性格特性 ということになります。 原因は、社員自身だけでなく職場環境にもあります。

育てる環境作りは50人を超えてから

いわゆる「ブラック企業」は悪として国が撲滅に向けて動いていますが、黒に近い「グレー企業」はたくさんあります。 その環境が原因で社員が育たない・環境悪だと言う論調の記事もありますが、必ずしもそうとは言えません。 あくまで社員に合った環境を用意する必要があるのです。 もっと言えば、会社が環境を変えることができないフェーズであれば、環境に合う社員を厳選して採用しなければならないのです。 ではどの規模になった時に、「勝手に育つ環境」を脱して「育てる環境」を用意すべきか。 多くの企業にコンサルとして関わった経験から見えてきたのは、従業員が50人を超えた時です。 要因は2つあり、「事業を伸ばすのに集中せざるを得ない」「頑張れば、勝手に育つ人材が採れる」からです。 しかし50人を超えるとリファーラル採用も難しくなり始め、採用に拘り続けても精鋭のみの組織でいることが難しくなり、「社員を育てる環境作り」を整え始める必要があります。

職場改善は、先ず隗(経営者)より始めよ

「職場環境」と言っても要素が多く絡み合っていて複雑ですが、少し分解すると「人」が原因のハブとなり「文化・風土」「システム」「仕事」の3つに分けることができます。 「人」に関しては、当然立場が上から順に影響力大です。 経営者>>上司>先輩社員 という関係です。 兎にも角にもトップが先頭に立って陣頭指揮を取らなければ、職場の改善は為し得ません。

①「文化・風土」

トップの意識改革無くして組織は変わりません。ビジネスを止めるくらいの痛手を伴う大きな決断が必要です。 社内の空気を換える際に場合によっては、社員の入れ替えという流血を伴うこともあります。 経営者の言動が変わると、役員や管理職といった上司たちの部下への言動が変わり、教育・育成に目を向けるようになります。 そうすると、組織全体で若手や新入社員との関わり方が、指示出しや管理から教育やサポートへとシフトしていきます。

②「システム」

人材を育成するためのシステムで効果的なのは、研修と評価制度、ジョブローテーションです。 ただし、「システム」は上の木の図で言う「肥料」に値し、一時的に育つ効果しかありません。 研修は、タイミングが重要です。 入社時の「新入社員研修」、管理職に昇格時の「管理職研修」が代表的な例です。 それぞれ、能力をつける研修ではなく意識改革をもたらす研修であるため効果は上がりやすく、持続しやすい点で多くの企業が導入しています。 他にも管理職を育成するのに効果的な研修として、360度サーベイを活用した研修があります。 評価制度は、成果偏重から組織組成や人材育成といった評価項目を追加で盛り込みましょう。 人間は自己中心的な生き物です。自分にとって利益のある、自分が得をすることには前向きに行動取りますが、他人に対してはモチベーションが上がらない、最悪は敵視して蹴落とす挙動に出るケースもあります。 特に管理職である上司たちにはその傾向が強く見られます。 デキる部下ほど不自由になるよう拘束し、責任を押し付け能力もやる気も潰します。 どうしても「ベンチャー感=成果主義」に捉われ、評価には盛り込まずに“風潮”で済ませようとする企業もありますが、足りません。 組織に浸透させるためには、評価制度の改定が必要不可欠です。 ジョブローテーションは、社員の成長・キャリアアップに効果的です。 ベンチャー企業や中小企業では、仕事や顧客に社員を貼り付けにしてしまうことを優先して、なおざりになっています。 同じ仕事内容、人間関係では育つにも限界があります。新人や若手社員に対しては積極的にジョブローテーションさせましょう。 上司が気に入った部下を手放さず難しい場合は、制度にするのも有効な手段です。

③「仕事」

仕事ごとに特徴があり、適した人材要件が決まってきます。 そのミスマッチによって、社員に負担をかけ成長しない・育たないケースがあります。 人に合わせて仕事内容を変えることは難しいため、異動によって解決しましょう。

社員が育たない元凶はゆとり教育にあり

子どもが育つのには、「社会(地域)」「家庭」「学校」の3つの連携が必要と言われています。 その中でも最も影響力が大きいのは「学校」です。 日本においては、ゆとり世代と呼ばれる1987年~2003年生まれの人たちは最も不運で、短期長期ありますが、義務教育の過程でゆとり教育を経験してしまっています。 もちろんマイナス面だけとは言えませんが、幼少期に与えられた自由な時間の過ごし方で大きな差がついてしまったのは事実です。 ゆとり世代と呼ばれる2010年大学卒以降の人たちを見てみると、
  • 競争力、上昇志向
  • 人間関係の構築力
  • 情報インプット力
  • やりきる力
  • ストレス耐性
の二極化が世代的特徴となっています。 これら5つの力は仕事をする上での基礎力でもあり、組織で育成する為の不可欠な能力です。 実は、20歳を超えてから鍛えることが難しいとされており、会社に迎え入れた時点で育てられるかどうか決まってしまっているのが現実です。 つまり、社員の性格特性(根っこ)に起因する能力不足を教育で補うことは難しく、別の改善方法が必要になります。

社員の質改善は「採用」がポイント

人の性格特性は、変えることが難しい・・・つまり入社前の採用で「健康的な根っこ」を持った人材を見極める必要があります。 今でも新卒採用において基準の1つに入れている企業が多い“学歴”ですが、年々効力が失われてきています。 それだけ、質の低下が著しいと言え、大学レベルでボーダーラインを引くのではなく、ある程度広い層と接触して“性格”を見極める必要があります。 どんなにお勉強が出来ても、どんなにIQが高くても性格特性に欠如がある場合、育成することは難しく、育たないまま“卒業”してしまいます。 新卒採用と若手採用において、育たない人材の特徴となっている「競争力」「人間関係の構築力」「情報インプット力」「やりきる力」「ストレス耐性」を面接で見極めることは非常に困難です。 ビジネス経験が浅いため実績らしいものが無く、さらに学生時代は“誰もが皆リーダー”経験者。 “ポテンシャル”とはよく言ったもので、顕在化しないため面接では差が出ません。結局は、面接での評価が見た目に誘導されてしまい“失敗”に終わります。 性格特性を見極めるのには、対人ではなく対機械でデータを収集する適性検査が向いています。 クラウド適性検査Deciderは、新入社員や若手に対して不足感のある5つの力をそれぞれ 「競争力」→活動力 「人間関係の構築力」→ソーシャル力 「情報インプット力」→知的好奇心 「やりきる力」→信頼性 「ストレス耐性」→ストレス耐性 として数値化しました。 面接力強化策の1つとして試してみましょう。みるみる採用力アップします。 ビジネス向けのビッグ・ファイブ性格検査をためしてみる