優秀な人材に出会う手法
新卒採用で優秀な学生に出会い、効率よく成功させるには、求めるターゲット層に知られることが重要です。
学生の企業認知は、一部のナショナルブランド消費財やテレビCMで流れている企業に限られ、大多数の企業を知らない状況です。
就活の限られた期間で、幅広く知られることは難しいため、自社に合った採用手法を選択し、狭い範囲で集中的に活動した方が効果が高いと言えます。
今回は、よく知られている手法も含めて、新卒採用で利用されている採用手段のメリット・デメリットを検討します。
(なお、新卒採用の方法論については 「新卒採用の戦略と戦術」 で詳細に解説しています)
新卒採用媒体
もっとも知名度の高い「リクナビ」「マイナビ」などのサイトへの出稿・掲載です。多くの企業で利用されています。
媒体出稿では、人数を集めやすいメリットがある一方で、”見学”意識で臨む学生も多い点がネックになります。
DMなど追加アプローチ費用を投じることで、母集団形成を一見強化できますが、内定受諾まで牽引できないことも多く、効率が悪くなりがちです。
ただし、他の手法で接触した学生もナビ媒体で企業情報を確認することが多く、最低限の出稿は費用対効果に優れています。
スカウト媒体
ナビ媒体と逆に、企業からアプローチする会員サイトです。
従来型の採用媒体では効率が上がらないケースがあるため、利用企業が増えています。
相性の良い大学・学部などの属性があらかじめ分かっている、自社知名度では応募のないターゲット層にアプローチしたい、といったケースでとくに効果的といえます。
また当初接触時点からターゲティングできる点を生かして、アプローチ理由を明確にする、個別・少人数イベントを用意するなど、距離の近いコミュニケーションをとれば内定受諾まで牽引力を発揮しやすい点もメリットです。
WEBテスト(能力検査)
SPIなどの学力テストです。
母集団が集まり過ぎて選考しきれない人気企業の一次選考に適しています。
配属部署に求められる能力が学力だけで測れない場合など、適切でない用途にならないよう注意が必要です。
パーソナリティ検査
アンケート形式の性格分析ツールです。面接時の見落としを防ぎ、選考品質を向上します。
職種を問わず実施可能で、スキルマッチの余地がない新卒採用に適しています。当社でも Decider (ディサイダー)を開発・提供しています。
合同説明会
合同説明会などの採用イベントは、現地で直接接触できるためリクルーターの魅力を伝えやすい点がメリットです。学生は若手の従業員に目が行きがちであるため、主に若さで勝負できる企業には有効な手法と言えます。
また、地方採用を効率的に実施しやすい手法でもあり、競合性の低い地域への出展は狙いめです。
採用企業からは、良い学生に会える反面、その後の自社採用フローに乗らないケースが多い、という声も多く、後続のフローを設計しておくことが重要なポイントになります。
来場者全体ではなく、ターゲティングして個別に話す方がその後の成功に結びつきやすいと言えます。
インターンシップ
説明会だけでなく、何らかの体験プログラムを実施する自社イベントです。
本来的な職業体験のインターンシップ・プログラムを組めるのであれば、相互理解も進むため内定受諾までの長い目で見た時の効果は高いと言えます(選考だけでなく、帰属効果も期待できる)。
ツアー型のプログラムや、受け入れる従業員に難がある場合だと逆効果になる学生層もいるため、効果のあるプログラムを組めるかどうかはあらかじめ検証が必要です。
OB・OG
各大学のOB・OGを介した採用活動は、各採用マンの人的魅力しだいで会社の実力値以上の採用可能性もあるため、意欲的な企業にとっては頑張りどころの1つです。
初期接点だけでなく、説得プロセスでも各大学のOBと話す場を設けることで進展することも多いため、状況に応じて協力してもらえるような体制を持っておくことは有効です。
まとめ:クローズまで意識した他手法の組み合わせ設計が重要
どのような採用手法をとるべきかは、企業の認知度とねらいによって異なります。
学生知名度の低い企業の場合、母集団形成はスカウト媒体を主体としてナビ媒体を補助的に使うセットが効率的です。
スカウト媒体では、メッセージ内容が主力武器となるため、ツール選定だけでなくコミュニケーション設計・コンテンツ作りにも注意を払うことが重要です。
また、新卒採用では人海戦術になることもあり、人物鑑定がバラつきがちという難点があります。選考品質確保のために、パーソナリティ検査を併用することを推奨しています。当社では Decider を開発・提供しています。
また、適性検査については「 新卒採用向け適性検査の選定ポイント 」で詳細に解説しています。