「中途採用=欠員補充」になっていませんか
中途採用は、退職をきっかけに募集開始するケースが多いため、ルーチンワーク化すると前任者の欠員補充に終始してしまいがちです。
店舗ビジネスなどの現場大量採用の場合は別として、中途採用する空きポジションは、どの会社でも独自の業務の組み合わせになっています。
そのため、欠員をそのまま補充しようとすると往々にしてマッチする人が存在しないという難点に直面し、採用効率が上がりにくくなります。
事務的に欠員補充を繰り返すような”採用戦略欠乏症”にかかると、ずっと募集中のポジションが生まれたりします。
中途採用を戦略的に運営するためには、採用と組織編成を一体と考え、まず異動によりポジションの必要機能を部分的にでも埋められれば手段が広がります。
中途採用を一定の期間でクローズさせていくには、採用要件の方を世の中に存在する転職者層に合わせるといった工夫が必要です。
ToBe(チームのあるべき姿)の再策定が重要
戦略的な採用のためには、募集要項を見直すことも重要です。
欠員補充しか考えていないと募集要項も「採用要件=前任者みたいな人」になりがちなのです。
中途採用の場合、特定の仕事を担当できることを前提としているため、募集ポジションの要求コンピテンシー(スキル・人格)にも当然条件がつく場合が多くなります。
たしかに前任者はその仕事を実施していたのでしょうが、必ずしもベストではないはずです。まず、前任者を一度アンラーニング(忘れる)して、必要条件を客観的に定義することが重要です。
少なくとも退職に至った理由から採用ポジションの妥当性を検証すべきですし、可能であれば、同業・類似業界トップ企業の似たようなポジションを務める人の人物像をベンチマーキングすると参考になります。
中途採用は急募になることも多く、設計不十分のまま実働に入りがちですが、ToBe(どのようなポジションであるべきか)を適切に定義した方が結果的に採用しやすくなることも多くあります。
フィット・ギャップ分析で戦略策定
ToBe(理想像)が定まれば、その必須条件のうち既存人員が満たしている(フィット)機能を除外する(ギャップ)ことで、採用条件が定まります。
いまの組織に欠けているギャップを募集要項に具体化する際のポイントは、現実性のレビューです。
「べき論」先行で期待が高いことじたいは良いのですが、それを一人の人物に求めてしまうと”スーパーマン”採用になってしまい、これもまった「ずっと募集中」になりがちです。
このような場合、2つ以上のポジションに分割して再設計するか、または最低限「必須条件・尚可条件」の妥協ラインを明確にしておくことが必要です。
現実味のある求人票を作れれば、人材紹介・スカウトで採用しやすい
募集要項の策定までが戦略フェーズだとすると、具体的な採用手法の選択〜募集・選考は戦術フェーズといえます。
採用手法として一般的な転職ナビへの出稿の場合、「ただただやりたい人」「転職というより転社したい人」の割合が高く、お見送り運用が増えがちですが、募集要項を的確に定義できていれば手段は広がります。
求人票(採用要件)が現実的であるほど、転職市場における遭遇確率は高まるため、人材エージェント・サービスやスカウト媒体などの効率的な採用戦術を採ることが可能になります。
選考では適性検査を活用して人格面を見落とさない
募集要項を転職市場に合わせて一般化することにより、選考プロセスで人物面の評価が可能になります。
複数のスキルを必須にすると適格な候補者が減り、人物面の選考余地がなくなってしまうため、この点でも前述のポジション再定義が有効です。
中途採用のターゲットとなるマネージャー層や予備軍は、言うまでもなく人格面も重要です。
スキル面は求人票による条件マッチや面接時の経歴質問でチェック可能ですが、人物・人格面は面接における見落としが起こりやすいため適性検査など客観的な指標の活用を推奨しています。
当社では、コンピテンシー可視化のツールとして適性検査「 Decider 」(ディサイダー)を開発・提供しており、新卒採用だけでなく中途採用でも活用されています。