新卒採用は、入社までの期間が長く学生に逃げられがちである点、企業・学生の双方の判断材料が少なく意思決定しづらい点が特徴です。
また、日本特有の就活シーズンという”民族大移動”のタイミングに採用活動を合わせる必要がある点にも特別な配慮が必要です。
就活市況にキャッチアップする採用戦略
新卒採用の成功にもっとも重要な要因は、「就活市況への適応」です。
学生が活発に活動している時期のほかは機会は激減しますし、就活が進行するにつれて学生の理解度が深まっていく展開も採用に大きく影響します。
また採用しやすい時期も、経済団体の政策もあり毎年違っています。
そのため新卒採用の戦略ポイントは、「自社と就活環境が今どのような状態か?」を機敏にキャッチアップできる点にあります。
採用プロジェクトを機敏にするには、意思決定の体制とその前提となる情報流通の確保が重要です。
採用プロジェクトの諜報力を強化する
新卒の採用力を上げるために必要な戦略目標は、人的諜報ネットワークによるインテリジェンスの確保です。
最前線の就活情報が採用の大本営に集約され、戦況に応じて攻め方を変える体制を持たなければ成果をコントロールできません。
まず、意思決定のための前提として、リクルーターという諜報員を組織して、採用活動を行うかたわら就活の最新情報をプロジェクトチームに定性レポートする業務フローが必要です。
また、情勢を定量的に観測するツールとしては、スカウト媒体が使えます。スカウトツールでは学生の活動状況がステータス表示されているため、就活の終了時期の兆候などをいち早く察知できます。
リクナビ、マイナビなどの主流媒体では、説明会への集まり方から推定するよりほかなく、結果論で何か気づけたとしても対策を打つ余地が限られるため、諜報戦では武器になりません。
中途半端に誘導枠を購入しても大きな空振りに終わりがちなのはこのためです。
情報を集約するフローを整備したうえで、意思決定機関もまた重要です。
新卒採用では、プロジェクト期間の途中で、大成功または明確な失敗が明らかな展開は少なく、「何やら分が悪い」という状況が多くあります。
この戦況下で、人事マンによる事務局運営では「大きく攻める」といった決断をしきれないプロジェクトになりがちで、典型的には機を逸して巻き返せないという症状に陥ります。
新卒採用プロジェクトは、ゴーイングコンサーンとして会社の未来を作る役割であるため、上級役員が関わることが推奨です。
プロジェクトトップとして適任なのは、社長または次世代の経営者候補です。”自らの組織”という意識をもって主体的に取り組める人物ほど望ましいと言えます。
これにより、世の中の動きと自社の達成度を週次以上の頻度でウォッチし、攻めるべきときにダッシュできる体制を確保します。
入社に至る採用戦術は個別対応の徹底
新卒採用の充足の最大の変数は、個別の学生の入社意思決定です。
学生との接触については、資源を投下していけば増やせますが、学生が内定受諾し実際に入社するには個別の獲得合戦に勝たなくてはなりません。接触しても「他社に決めました」ばかりでは戦術目的を達しません。
個別の入社意向を高めるためには、個別の学生から見たときのコミュニケーションの熱量(メッセージの内容×頻度)を上げることが有効です。
プロジェクトの人的資源は限られているため、ランチェスターの法則に沿って、狙う学生をターゲティングしたうえで集中投下が王道です。
接触の初期段階でターゲティングをするには、性格適性検査(パーソナリティテスト)の活用が有効です。
新卒採用では人格面で採否を判定することになるため、パーソナリティ分析を先行して進めておくことで、選考と並行してターゲット層とのコミュニケーション頻度を上げることが可能になります。
当社が開発・提供している 適性検査Decider は、アカデミックに定評のある主要5因子(Big-5)をベースに、新卒採用で自社に合うパーソナリティを判定しやすくするフローを実現します。
(性格検査とSPIなど能力検査のちがいについては、 「新卒採用向け適性検査の選定ポイント」 で解説しています)
これにより、母集団のすべてを追いかけて単位学生あたりの接触密度が希薄化し、負けるべくして負ける状況を避けやすくします。
事務局の活動レポートも、学生ごとの定性メモ(意向度・活動状況・自社からのメッセージなど)を日付入りで集めることで、個別の接触密度を管理できて有効です。
リクルーターの選定も全体の戦力に大きく影響
新卒採用特有の戦力として、リクルーターがあります。学生と近い年齢層で、自社の業務につき一定の理解を持っていた方が好ましいため、入社3年目・20代なかばの社員をアサインすることが有効です。
冒頭で解説したとおり、諜報員がつとまる機転が必要なほか、学生を口説ける機能も必要であるため、人員選抜は重要です。
フロント人員の構成を誤ると、グレードの高い意思決定組織を持っても無力化します。
リクルーターの選抜にもパーソナリティテストを活用するのが手軽で確実です。
リクルーターの人物像は、社内の平均値を起点として考えます。
ただし、対人スタイルが極度に”パーソナル”寄りでないことは必要条件となり、知覚スタイルが”知性派”寄り、活動スタイルが”発散型”寄りの人の方が成果は出ます。
まとめ:適応を実現するツール武装
新卒採用はつねに展開が不透明であるため、リクルーターによる人的諜報網を活用し、就活市況に機敏に適応する採用戦略が有効です。
また、個別の獲得合戦に勝ち抜くためにはランチェスター法則に沿った迅速なターゲティングと学生ごとの徹底した個別対応戦術が”勝てるロジック”の基礎となります。
このような新卒採用独特のアダプティブなターゲティング戦略を支えるキーツールとして パーソナリティテストDecider の活用を推奨しています。