パーソナリティ解説「信頼性」

「信頼性」は、短期的な欲求に打ち勝って長期的な目標を達成する資質を表す項目です。 誠実さ・良心・勤勉さ・節度といったモラルの高さと、計画性・現実性・責任感といった実務面の手際の良さの両面に同時に関わります。 信頼性は、あらゆる職種・業種の仕事で求められる能力であり、Decider® では「仕事の基礎体力」の指標として採用しています。

信頼性が高い人物の長所とリスク

信頼性が高い人は、モラルの面でも実務の面でも秩序立った行動をとることを得意とします。 そのため、マネジメント素養の一面を満たしているほか、顧客との暗黙の信頼関係が求められるようなビジネスへの適性は高いと言えます。 一方で、真面目で完璧主義の傾向が強い面もあり、失敗の際に受けるダメージが大きいため潜在的に うつ病 になりやすい傾向があります。 うつ病の発生率を下げたいと考えているような職種では、信頼性の高すぎる人物は長期的に見ると採用リスクが高いという判断も成立します。

信頼性が低い人物の採用リスク

信頼性が低い人は、数ヶ月・数週間といった長めの仕事や成り行きを自分の問題として捉えられない傾向があります。 著しく低いケース(警報レベル)では、"その場しのぎ"の挙動を示す傾向が強まります。仮病や親族の不幸といった言い訳や、常識的には考えられないような嘘をつくリスクもあり、ギャンブル依存・アルコール依存などへの耐性も低いと言えます。 また、信頼性が低く、かつ対人スタンスが著しくパーソナル寄りの場合、衝動性と孤立性の強い人格プロフィールとなり、DSM-5によると反社会性パーソナリティ障害との親和性が指摘されています。

仕事上の想定トラブルと対策

全般的に、説明責任を避けることが多いため、完成・完了まで多くの工程を持ちチームワークで分業するような仕事には向きません。活動がブラックボックス化(周囲の人から見て何をやっているのか分からない状態)した際に、けっきょくチームメンバーが穴埋めをする展開になりがちです。 また、飽きやすい性格でもあるため熟練を要する仕事には向かず、短期・単発の仕事の方がトラブルは少ないと言えます。 飛び込み営業など、活動成果と報酬が連動するフルコミッション型に近い仕事であれば、労使の期待の行き違いも低減できます。

まとめ:面接時の信頼性の判断ポイント

「信頼性」の低さは、あらゆる職種・業種にとって分かりやすい問題行動につながるため、面接時には最重要のチェックポイントになります。 幹部候補として考える場合には信頼性の高さは多少厳しめに判断し、スタッフレベルの採用では信頼性が低すぎないことを確認します。 面接の際、言動に一定の誠実さがあることや、行動の計画性に裏付けがあることの検証を行うことがあらゆる職種・業種で重要となります。

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