組織人材として、協調性を重視する企業が年々増えてきています。背景には、リアルなコミュニケーションが不足しがちで協調性を欠く行動をとる人が増加傾向にあることです。
「協調性」がある人材は、下記のようなプラスの効果を持っています。
- 受け答えの対応が気持ち良い
- お互いに尊重する関係を築ける
- 表立ってではなく裏で困っている人を助けられる
- 面倒な火消し役も買って出る
面接で協調性をはかる際の難しい点は、うわべの協調に惑わされずに判断できるか？という点にあります。
今回は、隠された対人関係の問題点を見きわめる面接スクリプトをご紹介します。 応募者が罪悪感なく無意識に自己中心的・利己的になる質問をすると協調性の真偽をズバッと見抜けます。
＜面接スクリプト＞対人スタンスに疑問が残る場合の質問集
応募者の長所を聞くふりをして、周囲への不満をあぶり出す手法が有効です。
「周囲の人にあまり伝わっていない、理解されていないと感じるあなたの長所は何ですか？」
- （さらに引き出す質問）
- 「それは、素晴らしいですね。他にも周囲の人に伝わっていない、理解されていない長所があれば、どんどんアピールしてください。」
- 「なぜ周囲の人たちは理解しないのでしょうか？」
確度90%で隠れ協調難の本質を見抜く着眼ポイント
隠れ協調難の判定にあたっては、周囲に理解されていない長所の数とレスポンスの早さに着目します。５個以上ポンポンと出てくる人は、協調性が×。 ３、４個であれば協調性△（即答するほど危険度は高い）、２個以下であれば協調性〇と判断して良いでしょう。
また、回答例ごとの隠された難点も挙げておきます。
・先を見越して、誰よりも早く先手を打ってトラブルに備えている
「先を見越していると言っているものが、周囲が期待するものとずれている」、「先を見越していても誰にも言えず行動に移らない」といった現象が起こっているでしょう。具体的な実例を聞くことで実際に先手を打っているのかどうかを確認できます。また、その際に周囲の人と協力して問題解決にあたっている（◯）のか、あくまで指摘にとどまる（×）のかによって判断が分かれます。
・チームに声掛けを積極的にして気配りをしている
声がけをしているのに気配りが理解されないという状況は奇異です。満遍なく声掛けが出来ていない、気に入った人や話しかけやすい人だけに声を掛けている傾向がうかがえます。 また、「声がけをしているから気配りができている」という、本来とは逆のロジックになっていて、周囲が欲している時に声を掛けている訳ではなく、本人が声を掛けたい時に声を掛けている場合も多々あります。 この場合、「どのような気配りをしているのですか？」と聞くことで追加の検証が可能です。
・周りの意見を取り入れている
意見を聞き出すだけで取り入れはしない傾向がうかがえます。極端な例では、実際には周囲の意見を聞いてもいないで想像しているだけ、というケースもあります。
・計画的に行動している
計画的な行動が理解されない不満は、結果が伴っていない状況を示唆しています。不満の度合いが強い場合、計画に緻密さがなく甘い点を上司や同僚から指摘されていたり計画倒れ・または計画を立てることもなく行動が伴っていない点を指摘されている可能性があります。
解説：質問のポイント
この質問でわかるのは、長所ではなく「周囲への不満の数」です。スキルチェックを伴わずに判断ができるため、人事面接・一次面接でも使いやすい質問と言えます。 協調性が低い人に見られる特徴として、周囲への不満の多さがあります。
相手の意図を汲み取るのが下手でかつ頑固なため、自己中心的になり周囲への理解を示すことなく不満に変わります。
コミュニケーションの矢印が一方向性しかないため「自分はこう思うのに」「本当はこうした方が良いのに」という考えや思いは伝わることなく、本人には不満が溜まっているでしょう。
その質問をスムーズに吐き出させることで、隠れた協調性の無さを測るのです。
ですのでこの質問の着目ポイントは、応募者から１つめが出た後の言い回し・言い方です。
応募者が気持ち良くなるように、長所として捉えてあげている雰囲気を出し、周囲への不満を出しやすい空気を作りましょう。
協調性に問題が無ければ、挙げた長所の話に深めていっても良いでしょう。 ５個以上出てくるようであれば、採用しても組織のガンとなる可能性が高いため採用は見送り、面接を３０分程度で切り上げた方が良いでしょう。
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