今回は協調性について、採用面接でよく使われる質問集をご紹介します。
企業側としての使いやすさが優先され、ストレートな質問を投げることが多くあります。
結論としては、協調性に関してはストレートに聞いてもほとんどわかりません。
なぜなら、日本の採用では特異的に協調性を重視するケースが多く、応募者も協調性やエモーショナルな"コミュ力"が求められているのだと思いがちだからです。
その結果、「自分は協調性があります!」とこぞってアピールする展開になりがちです。
協調性をチームワークに言い換えて、意識・考え方を聞いてみる
ストレートに聞く形式で使われやすい質問を下記に並べます。
●あなたが、チームで活動する時に意識することを教えてください
●あなたの考えるチームワークについて教えてください
●チームワークは得意ですか?エピソードがあれば教えてください。
サブ(●あなたの長所と短所を教えてください)
人物面を確認する質問の1つとして取り込むと自然です。
お互い安心?97%が模範的な回答をする
<模範解答例> チームメンバーの状況や心境を出来るだけ拾い上げて、誰も脱落することなくゴールにたどり着けるように協力を働き掛ける(呼びかける)
といった回答を期待したいところでしょう。 そして、97%の人がこのように回答し、一般的には〇と判断せざるを得ません。
この質問で協調性を見抜くには、ロジカルに回答していないことを観察してください。
本当に協調性が高い人は、友だちや仲間をメカニックな関係として捉えることが苦手な傾向があり、とくに集団をリードすることは苦手です。いかにも模範解答のように聞こえる解答であれば、協調性は中程度より低いでしょう。
残る3%は「協調性は不要」と思っている人です。 このタイプは、堂々としていて「使えない人と仲良くする必要はない。ついてこれる人だけついてこれば良い」「会社で仲良しこよしは不要」という信念を回答するでしょう。
本当に協調性が重要なケースの質問例
業界によっては、協調性が本当に必要なケースがあります。
たとえばビジネス上、法人顧客の接待が重要なプロセスとなるような業界です。
このような企業では、まず事実を前提として伝え、好き嫌いや特異・不得意を具体的にヒアリングした方が、はっきりします。
「当社の仕事では、営業活動の一貫としてお客様と飲みに行くことも日常的にあります。 飲み会の場などは得意な方ですか?どのような感じですか?」
自分の直面する仕事の話題となれば、嘘をついても続けられない可能性が高いわけですから、苦手意識のある人は素直に苦手意識が伝わった方が適切であり、面接官も判断しやすくなります。
多くの面接では、聞き出すことに意識が集中しがちですが、仕事上のつらい側面についてあらかじめ提示した方が定着などを含めて良い結果に結びつくことが知られています。
相手を問わずつねに誰かと接していたい、一人になりたくない人が、本来の協調性が高い人物です。
ほかにも介護の仕事など、つらい中にも誰かの助けになることが第一の喜びであるような業種では協調性は大切です。
「協調性を面接で見きわめなくては」という思い込みの多くが誤解
97%が模範解答になりがちな状況で、発言内容に着目しても見きわめは難しいでしょう。
そこで苦し紛れに多くの企業は、
- 話し方がたどたどしい
- ストーリーにほころびがあり、話が嘘っぽい
- あまり魅力的な話がない
というそれらしい理由をつけて「協調性がない」と判断しています。
しかしむしろこれらの特徴は、協調性の高い人にありがちな特徴でもあります。
協調性を判断したいのであれば、全体的な「ゆるふわ感」に着目した方が精度は上がります。
多くの企業にとってより根本的な問題は、採用基準として協調性を重視し過ぎていることです。
学術的な研究で「協調性が高いほど仕事のパフォーマンスが優れている」という結論のものはほぼ存在していません。
人物分析と採用基準のズレを解消しミスマッチをなくすには、ビッグファイブに基く性格分析ツール Decider®の活用を推奨します。
協調性もビッグファイブの1軸であり、面接だけに頼ることなくかんたんに測定できます。