ストレス耐性の低さは、神経質さが強いことを示す性格類型です。 「悲観的」「後ろ向き」「不寛容」「軽快さに欠ける」といったキーワードセットで表現できます。
ビッグ・ファイブは大多数の人がもっとも知覚しやすい軸です。ストレス耐性の低さを測るには、緊張感の強さに着目することがポイントです。
なお、他の4つの特性と軸を揃えるために「ストレス耐性」という名称にしていますが、ビッグ・ファイブでは「神経症傾向」という名称が一般的です。ストレス感受性であって、ストレスに耐える力ではないことに注意してください。
会話のセッティング
ストレス耐性は、ネガティブな事象に対する心理ダメージの大きさから読み取れるため、失敗談のディティールを語らせると測りやすいでしょう。
- 中途採用であれば、仕事上の苦労話の中から読み取るのが妥当でしょう。
- 新卒採用の場合は、就職活動じたいが大きなストレッサーであるため、これまでの就職活動の面接を自ら振り返ってもらうと引き出しやすいのではないでしょうか。
話題の中で、どのように気分を切り替えているか、どの程度の期間引きずっているかという点を確認すると判断材料を増やせます。 ストレス感受性は、ネガティブな感情の切り替えにくさから来ているためです。
判断ポイント
緊張感の強さで評価してください。 面接じたいが強いストレッサーであるため、神経症傾向の強い人は話題に関わらず緊張します。 「面接は誰しも緊張するものだ」という先入観があると、面接官の識別能力が落ちるので、個々人ごとに違いがあることに着目してください。
また、繊細さ・不安症・取り越し苦労・他責といった印象も参考材料として使えます。
会話の内容からも判断できますが、表情の硬さや声の抑揚を制御できない度合いなどノンバーバルな面にも着目してください。 ただし、ワイルドな風貌といった見かけから判断するのは避けてください。同様に、スポーツマンだからストレス耐性が高い、といったバイアスも捨てましょう。
冒頭でも述べたとおり、ストレスに耐える力・根性には意味がなく、あくまで神経質さの度合いを測ることがポイントです。 基本的に、ストレス耐性が高い(楽観的である)方が仕事のパフォーマンスは高いと考えられています。
学術研究では数値の相関は信頼性よりも低いのですが、信頼性と並んで重視されています。組織論の大家スティーブン・P・ロビンスが、神経症傾向が強い人はそもそも仕事が続かないからいなくなっている、とコメントしているとおり、ストレス耐性については計測対象の分布が偏っていると見るのが妥当でしょう。
なお、肉体労働や軽作業など、古くからある職種についてはストレス耐性が低くても問題ありません。一方、神経症傾向の強い人は、思考にまとまりがなくワードサラダになる傾向が強いため、持続的な思考を要する知的労働には向いていません。