売れる営業マン採用のポイント:提案力を見きわめる方法

売り上げを稼ぐ営業マンの特徴に”提案力”があります。提案力を見きわめるポイントは、「相手の目線を素早く獲得でき、対等な立場で話せる素質」です。

営業成績の良し悪しは、とくに売りづらい営業シーンにおける提案力、つまり視点を買い手側に素早く切り替えてストーリーを組み立てる能力で決まります。 今回は、営業マンの発想の提案力を見きわめる面接スクリプトをご紹介します。 今回のポイントは、途中で立場を逆転させて視点を変えた際の挙動です。

<面接スクリプト>下記の通りにそのまま面接の場でお読みください。

コミュニケーション力のテストでお客さんとの会話を設定したいと思います。あまり知らない分野の話になるかもしれませんが、とくに正解はありませんので気楽に意見を出してください。

私が、まずテーマを説明したあとに、お客さんの簡単な意見を述べます。その意見に●●さんの考えを続けてください。 今回のテーマは「プロ野球」です。

日本のプロ野球では、2007年からクライマックスシリーズというプレーオフのシステムが導入されています。セリーグ、パリーグそれぞれ6チームずつあるのですが、約半年かけてレギュラーシーズン(本戦)を戦い、その成績上位3チームが改めてトーナメント方式で各リーグの代表チームを決めるシステムです。最終的にクライマックスシリーズを勝ったセパ代表チームが日本一をかけて日本シリーズに出場できます。

それでは、1人目のお客さんの意見です。 「私は、レギュラーシーズンをぶっちぎりの1位で優勝した場合には、クライマックスシリーズのトーナメント戦は要らないと思うんですよ。1位のチームが強いに決まってるんです。●●さんはクライマックスシリーズについて、どう思いますか?」

(約3分 意見を聞き出す)

つぎに、2人目のお客さんの意見です。今度は1人目とは逆の意見です。 「私は、クライマックスシリーズのトーナメント戦が好きなんです。レギュラーシーズンをぶっちぎりの1位で優勝したチームがあっても逆転が起こりますからね。●●さんはクライマックスシリーズについて、どう思いますか?」

(約3分 意見を聞き出す)

ありがとうございました。急なネタ振り失礼いたしました。見事な頭の切り替えの早さを見させていただきました。

採用判断の着眼点

応募者の対応パターンとして、3つのケースがあります。 面接官が提示したお客さんの前振り意見との対比を見る必要があります。

(パターンA)
面接官の前振り意見とは全く異なる切り口で、ポジティブな価値提案をする。 理路整然(主張と理由が嚙み合っている状態)と意見を言うパターンであれば、判断は◎。

パターンAの応募者意見例:
クライマックスシリーズがあることで、興行収入の面で見て大きなプラスの影響があるのではないか。1リーグで、最低でも計4試合が行われる。恐らく満員に入ると考えられるので、人気のない球団にとって大きな収入源であるはず。プロスポーツである以上、興行収入は最も重視するべきポイントである。

(パターンB)
面接官の前振り意見の補強、またはすぐ横にあるポジティブな考え方を主張するパターン。採用判断は〇。話の具体性やストーリー作りの出来が良ければプラス評価。

パターンBの応募者意見例:
スポーツは逆転があった方が面白い。1位がぶっちぎりであっても、クライマックスシリーズがあれば、特に2、3位争いが毎年盛り上がっているように感じる。レギュラーシーズン後半戦の盛り上がり方が違うのではないか。ファンの楽しみの為にも、いかなる状況でもトーナメント方式を残すべきである。

(パターンC)
終始、否定形・批判的な態度で説明し、ポジティブな価値判断が出てこない。または、良し悪しの判断がそもそもできない。営業マンとしては難しいと思った方が良いです。 下記がNG応募者の代表的な反応です。

  • 立場交替後(2人目のお客さんとの応対)に混乱して、1分程度かけても頭の中を整理するためにごにょごにょと話したり、「うーん」「そうですね・・・」と言って悩んだりして意見が出ない
  • 面接官の前振り意見の内容と同じことを繰り返すだけで何も付け加えていない
  • 立場が曖昧な意見を言う(立場の切り替えが頭の中で整理が出来ていない)
  • 状況や理由をダラダラと述べるが価値判断がなく意見がまとまらない。意見を主張できない

また、対等な立場で話せる人は、[聞く時間]6割強:[発信する時間]4割弱のバランスのとれたコミュニケーションができる傾向もあるため、話している時間と聞いている時間の割合に着目する素朴な手法も案外有効です。

採用判断の着眼点に関する詳しい解説

「対等な立場(相手の目線)で話せるか」には、2つの大きなポイントがあります。 1つは対等な立場に立てるかどうか、もう1つは立場をもって話せるか。

対等な立場に立てるかどうかは、立場の切り替えのスムーズさで判断ができます。 パターンA、Bは多少苦戦しながらも立場を切り替えることは出来ているためクリアです。

パターンCは、一面的な意見・考え方しか持てない人の特徴が出ています。 このタイプは、議論に滅法弱く、営業先では簡単に打ち負かされてしまいます。もしくは、仕入れ先など弱い立場に対しては、必要以上に上から目線で語調強く話し、トラブルを巻き起こします。

もう1つの立場をもって話せるかですが、今回のディベートでは主張すべき意見はすでに与えられているわけですから、それを主張出来ない(パターンC)となると、仮に入社しても売ってこない営業マンとなること必定です。

どちらか一方でも欠けていると、営業先に行っても顧客の主張に対して「YES」と答えて帰ってきてしまう、炎上型営業マンとなってしまいますので採用は見送った方が良いでしょう。

【面接で演じるポイントと注意点】

パターンCに陥る人は、想定以上にストレスを感じています。 状況設定の説明は淡々と行えば良いですが、お互いの主張や質疑応答を交わす際は、和やかに少しテンションを高めて場を作ると良いでしょう。

パターンCの人は、選考結果はNGとなりますが、「圧迫だった」「面接として無礼を受けた」などの印象を他者に話されてしまう可能性があります。その後の採用活動に支障をきたさないよう配慮すると良いでしょう。

また注意点として、厚生労働省からも方針が出されている下記事項には触れないようにしましょう。
「本人に責任のない事項」・・・本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境に関すること
「本来自由であるべき事項」・・・宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や学生運動などの社会運動に関すること

【おまけ:ケース設計の意図】

面接官が知識豊富な分野が良いでしょう。マニアックな分野でも全く構いません。 応募者に対して、情報不足で不利な状況でも主張できるかどうかを見るためです。

履歴書の趣味欄があれば、趣味から知識が無さそうな分野を想定すると良いでしょう。 文学、歴史、スポーツ、音楽、ファッション、アニメ、金融、世界情勢などを中心に。困ったら自社の業界の設定でも良いですが、リアリティが出たり、応募者が勘ぐってしまう要因にもなりますので極力避けましょう。

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