信頼できる人材の採用ポイント:“謝罪”で責任感を見極める

責任感は、周囲に信頼感・安心感を与え自身の成長力にも寄与する素養で、共にビジネスをする上で非常に重要です。

責任感のある人材は、周囲の期待を的確に把握してそれに伴う行動ができます。 つまり、滅私奉公の精神があるのです。

「責任感」のある人材は、下記のような行動特性を持っています

  • 任務を投げ出さずに全うする
  • 言動と行動が一致する
  • チーム戦における周囲のミスに対してもリカバリーを試みる

今回は、ミスの事後対応で責任感を見極める面接スクリプトをご紹介します。

面接におけるケーススタディの進め方は、面接官がナレーターとして状況を説明し、その後応募者には1担当者としてどう対応するかを問うという流れになります。

<面接スクリプト>そのまま面接の場でお読みください

対応力を見る為の簡単なケーススタディをしたいと思います。

これから状況を説明しますので、あなたが1担当者としてどのように対応するか考えて、演じてみてください。

あなたは、社員500人の会社の総務です。 毎年1回、10月の第一土曜日に実施している社員総会の会場予約を含めた準備の段取りを任されています。 会社の最寄り駅である永田町の近くにあるAホールを半年前に押さえていました。

ところが、当日の段取りや下準備について会場側のスタッフと打ち合わせたところ、会場側が押さえていた日にちが1日後ろにズレていて日曜になっていることが発覚しました。正しい日にちに変えてもらうようその場で依頼しましたが、別の担当者の重要顧客で埋まっていて難しいとのこと。 すでに総会まで1ヶ月を切っています。

すぐに会社に戻り、上司の課長に事態を報告。まずは部長、管掌役員に報告すると言い残し課長はその場を去りました。 あなたは席に戻り、すぐに申込書の控えを確認したところ、あなたの手続きには問題なく、正しい日時が記載されていました。 また、代替のスペースがあるかインターネットで調べたところ、少し離れた立川であれば同規模のホールが少し安くてまだ空いていることがわかりました。

そこで3人が待つ会議室に呼ばれました。 部屋に入って席につかない内に、管掌役員から「●●(応募者の名前)くん、今回の社員総会の件、状況を説明してくれるか」と言われました。

あなたはどのように話しますか?軽く演じてみてください。

確度80%で無責任人材を見抜く着眼ポイント

判断ポイントは2段階あります。

① 応募者の開口一番に謝罪があるか
② 説明責任を果たし、可能ならリカバリ策に言及しようとするか

組み合わせで、ジャッジは3パターンになります。冒頭の謝罪が無ければ論外と判断してください。 出現率は低いですが、謝罪があっても、説明責任を果たそうとしない場合もNGと判断しましょう。事実を隠そうとする傾向があります。

◎謝罪あり 説明あり リカバリ策 あり
△謝罪あり 説明あり リカバリ策なし
×謝罪なし 説明・リカバリ策 有無関係なし or 謝罪あり 説明なし リカバリ策あり

★チェックポイントと模範解答例★
□はプラス要素、△はマイナス要素です。

<謝罪>
□謝罪する
□自責の念
△ノリが軽い

(例文)
「この度は混乱を招いてしまい申し訳ございません。私の確認不足により・・・」
「私の不手際でこのような事態に陥り、大変申し訳ございません。」

<説明>
(必要な内容)
□いつ発覚したのか(本日)
□どう間違えていたのか(土曜⇒日曜に)
□誰がミスったのか(ホール側スタッフ)
□原因は何か(詳細は不明、スタッフ側の手違い?)
□(誰が気づいたのか(自分))
△申し込み時まで遡る
△冗長、言い訳を述べる
△一方的にホール側スタッフを責める

(例文)
「本日、ホール側スタッフと事前打ち合わせをしておりましたところ、ホール側が日にちを1日勘違いして日曜日を押さえていたことが発覚いたしました。
先ほど社内にて確認したところ、申し込み時にはこちらの不手際はございませんでした。ホール側が間違えた原因は、現時点では不明です。」

<リカバリ策>
□当初の予定通りにいけるのかどうか
□土曜で走った時の代替会場の有無、費用感
□間違って押さえられていた日曜日に変更する場合のメリット・デメリット
□賠償について触れる
△「どうすれば良いか?」と聞いてくる

(例文)
「当初予定していた土曜日は、すでに予約を入れてしまっており、日程の修正は難しいとのことでした。」
「リカバリ策として、2パターン考えております。
1つは、土曜に代替会場で行うこと。もう1つは、日曜日に変更して社員総会を行うことです。
土曜の代替会場は、先ほど探してみたところ立川にAホールよりも安く借りられる場所が空いていることを確認いたしました。
日曜に変更する場合は、事業上のデメリットはありませんが、すでに予定を入れてしまっている社員が多く、決行するにも不満が続出することが予想されあまり良い案とは考えておりません。
立川の会場を押さえに動いてよろしいでしょうか。
今回の賠償については、課長とも相談して進めて参ります。」

ジャッジのポイント

責任感は、採用面接で通常の質問で確認できる場合もありますが、応募者にとって対策が容易なため本質を見抜くまで至っていないことが散見されます。

責任の取り方として、最もシンプルなのが“謝ること”です。

「謝って済む問題ではない」「謝れば済むと思ったら大間違いだ」などと激高されることも多々ありますが、何事も謝らないことには、始まりません。 ですので、あえて謝るべきシーンに応募者を置くことで責任がとれるのかどうかを見抜くのです。

口癖のようにすぐに謝る人にも要注意です。本心では謝っておらず流している可能性があります。

<進め方のポイント>
設定を説明する際に、少しゆっくりと重い感じで話すと、雰囲気が伝わり、緊張感が出ます。

<おまけ:設計のポイント>
経験したことはあるが、大行事の社員総会という少し緊張感のある設定であれば、職種に限らず普遍的に使える設問と言えるでしょう。 営業相手であれば、得意先を巻き込んだイベントでも良いですし、通常業務での発注ミスであればリアリティが出ます。

新卒採用での学生相手であれば、ゼミでOBも参加する5年に1回のイベントの会場仕切り役にすれば使えます。

面接で見極めが困難な「責任感」は適性検査を使うと効果的
Face to Faceでは取り繕って差が出ない責任感も、PC・スマホで一人で黙々と質問に回答するスタイルの適性検査 Decider®であれば、松竹梅がきっちりスコアとなってわかります。

採用面接のサポートに最適なDeciderを活用して、選考の精度アップしましょう!