信頼性(低)の面接チェックポイント

信頼性の低さは、衝動の抑止力の乏しさを示す性格類型です。 「不誠実」「怠惰」「飽きっぽい」「良識に欠ける」といったキーワードセットで表現できます。

ビッグ・ファイブは大多数の人がもっとも知覚しやすい軸です。信頼性の低さを測るには、欲求へのルーズさに着目することがポイントです。

また、対人面の礼節を日頃から軽視する傾向があるため、話し方や立ち居振る舞いの横柄感も含めて総合的に観察してください。

会話のセッティング

信頼性は、欲求やつらい環境を克服しようとする側面に表れるため、テーマを問わず努力の内容を語らせることで判断できます。

  • 中途採用であれば、仕事で苦労した話を尋ねることが適切でしょう。仕事はつらい環境の宝庫であるため、話題には事欠かないはずです。
  • 新卒採用の場合は、一番頑張ったエピソードの汎用性が高いと考えられます。

基本的に採用面接では、過去の業績や功績を準備して臨むケースが多いでしょうが、なしとげたことの大小よりも苦労の大小の方が本人の信頼性に直結します。
短期的な成功のエピソードであった場合には早めに打ち切り、「成功した話よりも、失敗談を含めて苦労の度合いが大きかった話の方が好ましいです」といった誘導が必要かもしれません。

信頼性が低い人物は、あらゆる苦労を避ける傾向が強いため、長期にわたる持続的な努力のエピソードに乏しいか、矛盾を含む作り話になりがちです。

判断ポイント

信頼性については、律儀さ・信頼感・着実さの総合的な印象で判断してください。 信頼性の低い人物はためらいなく嘘をつき、人をだますことが日常行動の一部であるため、話の内容だけを情報源とすると見誤ります。

言動を観察して面接官が「ルーズに感じる」度合いは、判断に活用できます。あいさつや応答態度、話し方などの印象に注目しましょう。

礼儀正しい挙動は各文化によって異なりますが、信頼性が高い人物は継続的に礼儀を守ろうとするため言動に一貫性があります。 ルーズに見える度合いは、日常の礼儀意識の不足を反映しています。

信頼性を重視する企業では、面接官がルーズな印象を受けた言動リストを評価履歴に記録すると、最終的な総合判定に活用しやすいでしょう。典型的に評価したい挙動は、定型チェックリストにしておくことも有効です。
また、面接官じしんの信頼性が低い場合には判定基準が下がりやすいため、評価品質にも注意を払うべきです。

低信頼性のリスクと水準

幅広い学術研究の結果として、信頼性は多彩な職種につき、仕事のパフォーマンスともっとも相関しています。「継続は力」は証明されている、と言えます。

基本的には信頼性は高いほど優れていると考えるべきなのですが、以下のような理由から、実務上は信頼性が低くないことを確認するだけで足ります。

  • 難易度の高い職種では、信頼性だけ高くても要件を満たさず、他の特性にも特定のスコア帯(高ければ良いとは限らない)が必要
  • 多くの職種では中庸であれば足り、ビジネスモデルの制約上、信頼性が高いからといって圧倒的な業績をあげる余地は少ない
  • 社会資源は有限であり、信頼性の高い人はそれを積極的に必要とする職に就くべきである

なお、信頼性の低い人を活用する短期・単発の職種カテゴリも存在します。 この場合、協調性も合わせて確認することを推奨します。

信頼性・協調性とも低い場合、利己的な性格プロファイルとなり、多くの企業で懸念する事象リスクが上がります。協調性が高い場合は、自己中心性が薄れるため相対的に大事には至りにくい面があります。