ストレスチェックの問題点と本来の解決策

ストレスチェック制度とは

ストレスチェック制度は労働安全衛生法の改正で導入された労働者のメンタルヘルス不調を防止する制度で、2015年末から義務化されました。

企業は、労働者がメンタル不調に気づくためのストレス自己診断(心理負担の検査)を提供することが義務付けられており、一般的には厚生労働省が提供している検査問題を利用しています。

これにより、不調な従業員が医師にかかるきっかけを早期に得ることが目的となっています。

ストレスチェック制度の問題点

ストレスチェック制度の導入は、企業に義務付けられていますが、以下のような問題があり、じつは企業は主体的に解決に関わることができません。

  • ツール提供は義務だが、個別の従業員の受検は任意
  • セルフチェックの結果を企業のマネージャーが知ることは禁止されている
  • 就業上の配慮は、医師の意見にもとづく

この制度のねらいとしては、職場環境の改善も二次的に含まれてはいますが、企業は実際の不調ケースを把握できないため、そもそも改善策のヒントも得づらい状況です。

ストレスチェック制度は、所得税の源泉徴収と同様、国の政策運営を代行している側面が強いと言えます。

本来のメンタル不調対策

ストレスチェック制度では、実際に高ストレス状態になっている人を対象に、医師の判断が完了した段階からスタートするフローになっているため、事後的な対応しかとれません。

ただ実際には、職場うつなどのメンタル不調の撲滅は、企業に関わる誰もが望んでいることで、本来はもっと実効的な施策が必要です。

職場うつなどの対策のヒントは「メンタル不調になる人とならない人がいる」ということです。

つまり、従業員一人ひとりのストレス耐性とストレッサーとしての仕事環境のミスマッチが起きることで、うつやパワハラなどの問題が起きます。

ミスマッチへの根本的な対策は、採用時にストレス耐性を見極め、職場のストレッサーに耐えない人材を採らない、ということです。

当社は、ストレス耐性のミスマッチも含む採用時のリスク対策ツールとして 適性検査Decider (ディサイダー)を自社開発・提供しています。

Deciderでパーソナリティを分析することで、パワハラの発生源となる”隠れメンタル”類型のような、後で問題化するケースも高確率で見抜きやすくなります。

また、ストレッサーのレベルは職務内容と上司・部下の組み合わせによって様々であるため、ストレス耐性がやや低い人も組織編成の工夫によって問題を避ける余地もあります(企業の組織運営スキルの要求度は多少上がります)。

まとめ:お互いの自衛は採用時に決まる

メンタル不調は、関係者の誰にも良いことがない不幸な展開です。また、後から「しまった」と思う問題の典型例でもあります。

ストレスチェック制度の義務化により、部分的な可視化が始まりましたが、あくまでこの制度は「氷山の一角」を観測する手段でしかありません。

もしストレスチェック制度で面接指導の対象者が出てきた場合には、周辺に隠れた問題があることをうかがわせますが、面接指導の該当者がいなかったとしても、問題ないことを保証しません(少し考えればすぐ分かる簡単なことです)。

各企業が有効な自衛策をとるためには、ストレスチェック制度と合わせて採用時のパーソナリティ検査で、自社のストレッサー水準に適合しているか?評価することが重要です。

適性検査Decider は、科学的にコンセンサスのあるBig5(主要5因子)ベースの分析を提供、「メンタル警報・注意報」も分かりやすく表示します。

ストレスチェック制度の対象となっていない企業もメンタル不調の問題には等しく直面するため、採用時のメンタルチェックを推奨しています。