市場浸透を目的とした新規開拓力アップのポイント

新規開拓は手法に選択余地少なく、解決すべき問題は人材の質にある

新規開拓において営業プロセス作りの成功ポイントは、顧客目線に立って組めるかどうかです。従来のプロダクトアウト思考で営業活動を組むと必ず失敗します。

営業プロセスについては、一般的にマーケティングと呼ばれますが、市場浸透を目的とした新規開拓においては、前提条件だらけのため構造はシンプルです。

徹底した顧客目線による、

  • ターゲットリストの優先順位づけ
  • 顧客の目に留まるアプローチ手法
  • 心をくすぐる販促企画

の3点ができていれば、新規開拓における営業プロセスの検討は、トライアンドエラーで修正しながら進められれば問題ありません。

どのように新規開拓をするかプロセスを固めても現場の動きが悪い場合は、営業担当者のパーソナリティに問題がある可能性が高く、矯正することが難しいため注意が必要です。

よく勘違いされるのは、現場の教育・育成の問題とされることです。

“育つ部下は育つ、育たない部下は育たない”が現実。だから人選が重要

ロールプレイングや、営業力アップセミナー・営業研修などで時間とコストをかけて改善を図る企業が多いですが、残念ながら一過性の効果しか得られず、本質的な改善には至りません。

それは教育方法が悪いということではありません。育つ部下は育つ、育たない部下は育たないという現実を直視して、活躍に必要なパーソナリティを見定めて人選することが重要です。方法[How]だけではなく適格な人材[Who]にもこだわることで、新規開拓力アップが実現します。

育成プログラムや管理を徹底してもデキないのは、営業担当のパーソナリティに難があるためです。

デキない営業マンの心理状態の代表例を挙げましょう。

◆“とりあえず”でしか動けない・・・周囲の状況の変化や顧客に言われている本質的な部分が理解できない

(やり取り例)

【営業部長】よく動けてはいるが売上に繋がっていないので、ターゲットリストを一度見直した方が良いんじゃないか?

【営業担当】そうですね、とりあえず営業先を変えて行ってきます!

【営業部長】いや、そうではなくて、もう少し考えてから動いてくれないかなぁ・・・

◆一歩も“踏み出せない”・・・お客様からきつい事を言われたり、営業部長にKPIを徹底管理されると不安になり混乱する

(やり取り例)

【営業部長】今月の目標商談件数は達成できそうか?

【営業担当】は、はい。えー・・・午後に電話掛けをしてアポを取っていく予定です。

【営業部長】現状も見通しも分からないし、今日もまだ電話すらしていないのか。何をやっているんだ・・・

◆重要な事ほど“後回しにする”・・・納期や次にやるべき事、顧客から要望された急用を認識していても、目先の事に追われて重要度が高い事ほど後回しにして機を逸する

(やり取り例)

【営業部長】先日に営業同行したお客様から連絡があって、見積もりがまだ届かないと言っていたけど、今どうなってるんだ?

【営業担当】すみません。ちょうど今作成した内容をご確認いただこうと思っておりました。

【営業部長】いやいや、商談したのはもう1週間も前でしょ。何ですぐにやらないんだ・・・

これらは、ノウハウや考え方を教えたり、徹底管理することでデキるようになると思われがちですが、性格や思考のくせに起因するため改善は難しいのが実態です。

例えば、“後回し”社員を徹底管理するためにCRMツールを導入。当日にお客様の情報入力をすることを徹底しても、できるのは1週間程度。1ヶ月もすると入力作業を“後回し”にすることが常習化します。

結局、お客様とのやり取りの情報が上がってこないため、進捗管理が困難になり、お客様対応の“後回し”を改善することには至りません。

既存社員を育成することも大切ですが、ポテンシャル以上に成長させることは出来ません。

それよりも、次章から説明する新規開拓営業に適格な人物を取り揃えるだけで

  • 営業会議の提案案件が増える
  • KPIの数字が倍になる
  • 稟議書が次々に回ってくる

といった営業部門として理想的である活動が活発な状況に一変します。

とんとん拍子で新規開拓が進む営業担当に必要なパーソナリティ

[Who]適格な人物像①短周期でPDCAを回せるロジカルさ

新規開拓の取り組みの場合は、動きながら考えて修正して次の行動に繋げる・・・いわゆるPDCAサイクルを都度回すことが必要不可欠です。

新規顧客に対して、業界特性や周辺状況、顧客の組織構造、心理構造などの情報を収集することから始まり、組み立てて仮説検証を繰り返すことでプロセスの精度を高めることが可能になります。

情報収集と検証のフロントとなる営業担当者にPDCAを回せるロジカルさは欠かせません。

[Who]適格な人物像②何事にもへこたれない強靭な精神力

新規開拓の営業において、営業スタイルに関わらず、折れない強いメンタルが必要です。

“攻める“タイプの電話営業や飛び込み営業を営業活動のスタートとする場合、断られ続けるため、精神的なタフネスさが重要になります。

また、リードをインバウンドでとる“待つ”タイプのWebマーケティングや勉強会・セミナーといった企画中心の営業スタイルとしても、成功するために何度もトライアンドエラーを繰り返さざるを得ません。

“攻める”営業スタイルでも、“待つ”営業スタイルでも、毎回落ち込み、考え込んでしまっていては何も動きません。検証する必要はありますが、精神的ダメージを受けている場合ではないのです。

つまり、新規開拓の営業担当として成果を出してもらうには、どんな事にもへこたれずに何度でも立ち上がり続ける強い精神力を持っていることが必要なのです。

[Who]適格な人物像③即レスで信頼性を構築する、きっちりさ

最後の要素は、丁寧さ・きっちりさです。特に法人営業では重視されます。

見込み客にとって、買うかどうかの判断基準には、商品・サービスの良し悪しだけではなく、営業担当の良し悪しも含まれています。

人の行動による感情への影響度合いにおいて、視覚情報が大半を占めるというメラビアンの法則(視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%)などから、見た目の清潔感や身なりばかり重視されがちですが、企業間取引において契約をするか否かへの影響はごくわずかです。それよりも営業マンとして信頼がおけるかどうかの方が圧倒的に大きな影響力があります。

営業マンの信頼構築のスタートラインは、スピーディーで誠実な対応ができるかどうかです。営業担当がそのきっちりさを持ち合わせていることが、新規開拓の成功に必要不可欠です。

人材は育てるのではなく入口でパーソナリティを見極める

冒頭でもお伝えしましたが、教えたり鍛えることで「育てる」ことに重きを置いている企業が多いですが、全ての人を育て上げることは不可能です。

入口である採用活動で、「育つ」人材かどうかを見極めることが大切です。

厳しく選考していても入社後に「こんなハズでは・・・」と、実際には見極めきれていないことに落胆する社長や営業マネージャー、人事担当者も多く、人物の見極めは経験や勘だけでは困難です。

それは、対人である面接という選考手法は“騙し合いの場”と化しているためで、面接スキルの向上では対応しきれません。

人材を見極める上で、おすすめなのが適性検査・性格検査の活用です。

対人ではなく、対機械(紙)かつ自己チェックで済ませられる適性検査は、面接では得られない情報を取得することができます。参考指標として取り入れると選考の精度向上に繋がるでしょう。

その中でも、当社が独自開発した 適性検査『Decider』 (ディサイダー)は客観性の高いBIG-5(主要5因子:信頼性・ストレス耐性・知的好奇心・外向性・協調性)で人物パーソナリティを分析することに特化したツールです。

今回の新規開拓に適した営業マンに必要なパーソナリティもBIG-5で測ることが可能です。

①短周期でPDCAを繰り返し回せるロジカルさ
⇒知的好奇心の高さを測定

②どんな事にもへこたれない強靭な精神力
⇒ストレス耐性の高さを測定

③クイックレスポンスで信頼性を構築する、きっちりさ
⇒信頼性の高さを測定

採用で、上記3つに欠けのない人選をすることで、滞っていた新規開拓がスムーズに進展し、営業部門が活性化します。

Cover Photo by Isaac Smith on Unsplash