成果主義導入のポイント

年功序列から成果主義へ

日本的なビジネス慣行として知られる年功序列ですが、じっさいにはこれを維持しようという風潮は過去のものになっています。

年功序列と成果主義については10年以上のアカデミックな研究実績があり、バブル経済崩壊後の90年代半ばから成果主義が定着したことが分かっています。

高度成長経済の終焉・ビジネスサイクルの短縮・人件費の高騰といったマクロ要因により、おおむねどの先進国でも成果主義・能力主義をベースとしており、現在と未来の成果をより重視する制度が優勢です。

成果主義のメリットとデメリット

大きく言えば、年功序列は保障的・功労報奨的な面が強く、成果主義は短期サイクルで変化するビジネス環境に合っています。

現在では市場環境が短期化しているため、成果主義の方が市場の不確実性への耐性が高いメリットがあります。一方で生涯賃金の見通しが悪い点は従業員から見てデメリットとも言えます。

また、個人別に見ると成果主義と年功序列のどちらが有利かは仕事の能力によってさまざまであり、メリット・デメリットが判然としない部分はつねに残ります。

ただし、長い期間を経て生き残りつつあるのは成果主義であるため、損得をトータルすると成果主義の方が合理性が高いと考えられます。

成果主義は複合的なシステム

同じ成果主義・実力主義といっても、それぞれの評価モデルの作り方によって業績主義から能力主義まで各社各様の制度に派生しています。

成果を判定するポリシーは主に以下の3つの系統に分けられます。

  • 業績主義:会社の業績と強く連動させるケース
  • 成果主義:個人の成果と強く連動させるケース
  • 能力主義:能力評価と連動させるケース

また、これらを加重平均することでハイブリッド型の評価システムとして設計することも可能です。

成果主義を反映する要素は、基本給や賞与の査定といった短期評価だけでなく、昇進ペース、降格人事など長期的な待遇を含めたいくつかの制度の組み合わせの余地があります。

このように、成果主義の実装には複数の要因が関係するため、ポリシーがないと迷走しかねません。

成果主義の導入時には、自社の意図を明確にしておくことが最重要ポイントとなります。

まとめ:業績とコンピテンシーを直視する

成果主義を簡潔にまとめると、直近の業績や現在の能力を直接評価する制度といえます。

導入の目的として、人件費の変動費化を進めて市場環境への適応度を上げたい場合には業績連動性の強い制度が意図に沿います。ただし、このケースでは、従業員が短期的成果で失敗の少ない目標を追うバイアスがかかる副作用がある点に注意します。

また、業績そのものよりもコンピテンシー(スキル+人格資質)を重視する制度をとる際には、評価の客観性・実効性を確保することが重要になります。

密室化した査定では安定性を欠くため、360度評価や適性検査などの客観性の高いツールも併用することが実装のポイントといえます。

当社では、コンピテンシー可視化のツールとして適性検査「 Decider 」(ディサイダー)を開発・提供しています。