仕事の属人化。隠れた要因とリスク解消策

特定の従業員がいないと仕事が回らない状況を「属人化している」と言います。

会社はチームワークするものという印象を持ちがちですが、実際にはかなり幅広い職場で仕事が属人化しています。
とくにベンチャーや中小企業など規模の小さい会社では、気づいていないだけで全社的に属人化しているケースが多くあります。

表面的には問題はないのですが、何かトラブルが起きるとすぐに仕事が止まってしまうという点で脆弱です。
また、上場を目指すケースでは素朴なブラックボックス業務は許容されないので、早々に解消する必要があります。

属人化の隠れた要因

一般的な属人化の解決策は、マニュアル作成などを通じて業務プロセスを標準化することです。
標準化とは、誰でもその仕事を実行できるよう手順を明確にすることを指します。

属人化を許容していない大企業の中には、数年単位で異動させることにより実効性を確保する例もあります。
プロセスとしては、業務引き継ぎをきっかけに標準化するのが妥当でしょう。

その際、合わせて注意が必要なのは、担当者の能力レベルです。
属人化は特定の人にしかできない仕事であり、そうなってしまう隠れた要因として、従業員の能力水準が仕事に必要な水準より低い可能性があります。
実際に「私にはあの仕事はできない。大変そう」という感想も日常会話に頻出するパターンです。

組織全体がパワー不足な状態で、たまたま一部の従業員の努力で仕事ができているのであれば、プロセスだけ工夫しても属人化の解消に結びつかない展開が考えられます。

仕事の水準に合わせた能力の底上げがポイント

別の角度からも属人化への対処を確認してみましょう。
誰にでもできるわけではない特化した仕事の代表例として、戦略コンサルティングがあります。

著名コンサルティング・ファームの書類通過後から採用に至る面接通過率は5%程度と言われています。
逆算すると、現役のコンサルタントが採用人数の20倍の人数に対して時間をかけて面接を行なっているということです。

コンサルティング業界には、メソドロジーと事例の蓄積はあるものの、一般的な意味での業務ひきつぎはありません。
プロジェクトごとに業務が異なる環境でも、人材を厳選することで属人化を避けている事例と言えます。

コンサルティング業界のように採用プロセスにコストをかけることは難しいかもしれませんが、従業員の能力を可視化したうえで採用段階で的確にチェックすることは重要です。

個々人の資質の違いは、心理学の成果を生かした ビッグファイブ 性格分析により計測できます。

属人性の分析と解決には、ビッグファイブの組織分析ツール Decider®で自社分析や採用段階のチェックを実施することがおすすめです。

一般の企業の場合には、仕事により必要な水準が異なる場合が多くあります。
属人化が進んでいるような場合には、採用基準を複数定義して、タイプの異なる人材を採用することもポイントになります。