マーケティング転職、3つのポイント

  1. 本来のマーケティング像
  2. 代表的なマーケティング職の仕事とは
  3. マーケティング転職で活躍する人物特性

本記事では、マーケティング職への転職を志望する方向けに、仕事内容の解説とともに、マーケターとして活躍する人物の強みとキャラクター特性をご紹介します。

本来のマーケティング像

マーケティング職の役割は企業ごとに多種多様ですが、本来のマーケティングの対象領域は”買ってもらう努力のすべて”を指しています。
MBAコースの古典となっている『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』は1,000ページ近くある大著ですが、そのうちの一部ではなくすべてがマーケティングなのです。

この本で説明されている宣伝・広報・リサーチ・セールスなどの多彩な手法を組み合わせて、企業ごとの”マーケティング・ミックス”(売れる組み合わせ)を定義することが本来のマーケターの役割です。

この本来的な意味のマーケティング・ミックスを役割とする代表的なポジションが、P&Gのマーケティング・マネージャー職です。
P&Gは通称CEO大学と呼ばれるとおり、各商品ブランドの経営をマーケティング・マネージャーが包括的に担当しています。
競争の激しい消費財(FMCG)分野でP&Gが勝ち続けてきた一因として、ブランドの数だけ経営者が存在する状態を創り出せている組織力があります。

P&Gのマーケターの人物特性については他社と異なり、より経営者に近い特性が求められ、社内の他部署とのクロスファンクショナル組織をとり仕切れる知的でタフな人物であることが必要です。

代表的なマーケティング職の仕事とは

P&Gほど包括的な役割を担う人材を集めることは現実的には難しく、多くの企業でマーケティング職は以下のような機能に細分化されています。

マーケティング・コミュニケーション
マーケティング・コミュニケーションは、主に広告宣伝や広報を中心とするブランド管理機能を担当しています。略称でマーコムと呼ばれることもあります。

グローバルなブランド管理の事例としてコカ・コーラやマクドナルドのマーケティングがよく知られています。これらの企業は先進的なPR手法の事例として取り上げられることも多くありますが、先進手法で成功しているから強いブランドを維持できているのではなく、マーケティング・ミックスの総合品質が高いから勝ている、という構造を理解しておくことが重要です。

マーケティング・リサーチ
リサーチャーは顧客や潜在顧客の需要を、適切なリサーチ手法を活用して分析する職種です。
典型的にはブランド認知度のアンケート調査などが知られていますが、じっさいには調査対象・手法とも多彩なリサーチが存在していて適材適所で使い分けています。

取扱い商品数の多い流通業や大手メーカーでは、商品の売れ行きを統計的に分析することをKGI(Key Goal Indicator)に置いているケースが多くあり、PR施策との相関性を評価します。
自社商品以外の総合的な市場動向についてはパネル調査などのデータを購入することもあります。リサーチデータの提供事業者としては、インテージがリーディングカンパニーとして知られています。

また、発売後の販促分析だけでなく、商品企画の段階も含めて「顧客理解」という機能を担当することもあります。これは、グループインタビューや行動観察などを用いて、定性情報も含めて顧客の認知行動をモデル化するものです。

Webマーケティング
Webマーケティングは本来マーコムの一部に位置付けられるべきものですが、既存のマスマーケティングと異なるツール類に関するノウハウが必要となるため、職種としては独立したカテゴリーになっているケースが多くあります。
主にGoogleやYahoo!への広告出稿のほか、自社サイト・広報メディアの運営、評価を担当します。

このように、マーケティング職は各分野の手法に通じていることが必要であるため、全体的には経験者を歓迎する傾向にあります。職種未経験のビジネスマンにも人気の高い仕事ではありますが、確立したプロセスを持つ企業ほどスキルチェックが厳しく、未経験からの転職は難易度が高いのが実情です。※未経験の方でも、ビズリーチなどのサイトで、履歴書・経歴書を登録し、チャンスを待つのも一つでしょう。

マーケティング転職で活躍する人物特性

マーケティングは人気職種のひとつですが、仮説の発想力が問われるため適性の高い人は限られます。思考が柔軟であることと考え続ける能力が求められます。

診断の特性では、「柔軟性」「洞察力」「業務推進力」が高い水準であることがマーケティング適性と連動していると考えられます。
また補助的な指標として「自己肯定感」や「やりきる力」、「サバイバル力」のうち「見通す力」が著しく低い場合も、思考の独立性に課題があることが多く比較的不向きと言えます。

マーケティングの転職案件例

一般的な傾向としては、日用消費財メーカーのほか、美容品などの高単価商材分野でもマーケティング職を積極採用しています。
また、流通小売のMD職(マーチャンダイザー。仕入れ担当者)も資質としては同等の能力を求められます。
一方で、とくに国内の法人向けビジネス分野では、比較的セールス一辺倒で乗り切る傾向が強く、マーケティングポジションの採用意欲は低い傾向が見られます。