人事採用職の転職で活躍する人物特性

人事採用職は経営視点が必要

人事採用職は、企業の運営に必要なヒト・モノ・カネのうち、ヒトを調達する部隊です。いい人材を集めることは、企業の経営にとって欠かせません。そして人数さえ揃えればいいというわけではありません。例えば、新しいアイデアを生み出してくれる人材や、現状を打開してくれる人材、主体的に動いてくれる人材などを、選りすぐる必要があります。人の質で企業としての力が変わってくるので、責任重大です。

企業規模が小さい場合、採用活動は経営者の役割です。そして、会社の規模が拡大していくにつれて、その役割は社員に振り分けられていきます。そうすると、これはやむをえませんが、採用の基準にズレが出てきます。

このズレの背景には、必要な人材の要件を言語化していない、という問題点があります。会社の状況は日々変化している。にもかかわらず、どういった人材が必要なのか、設定する作業を後回しにしがちなのです。

もちろん経営者も、いい人材が集まったら事業がさらに成長するというのは百も承知です。しかしながら、事業が忙しいがために、採用に時間をかけていられない、となってしまうのです。本来、喫緊で必要な人材の要件、この先必要になりそうな人材の要件、というように、しっかりと定義しておく必要があるのですが、多くの会社でなおざりになっています。

ゆえに人事採用職は、会社の現状を把握するとともに、経営者と密にコミュニケーションを取って会社に必要な人材の要件を、まとめておくべきなのです。単なる欠員補充のための採用に留まらず、会社が今後どういう方向性に進んでいくべきかを把握した上で、経営者と同じ目線で採用活動を行うことが求められるのです。

ただし、このような人材はなかなかいないため、一般的に求人情報として出ていない場合でも、実は企業・経営者は優秀な人事採用職に対してよい待遇を用意しているというケースも多くあります。

人事採用職に求められる人物特性

人事採用職は面接で人を見極めることが大切な仕事の一つです。そのため、人事採用職で活躍する人材は、相手の本音を引き出すための「心聴力」、そして引き出した会話から相手を見極める「洞察力」が高めに出る傾向があります。

30分や1時間といった短時間に、オープンに会話ができる関係性を築き、話を引出し、事実確認を繰り返す作業を行います。見た目や会話の勢いにつられてしまいがちになったりもしますが、本来、過去の事実や思いの強さを、丁寧な質問によって引き出していかなければ、その人の本質は見えてきません。見た目に引っ張られず、フラットに相手と接する力も、洞察力の一部といってよいかもしれません。

また資質面での人物特性として、「当事者意識」「ミッションマネジメント」「自己肯定感」の項目についても10段階中7以上を示すケースが多くみられます。

人事採用職は企業のフロント窓口として様々な候補者に接します。当然に候補者にとって、”魅力的”であることが求められるため、自己肯定感の中の「自信」やミッションマネジメントの中の「使命」といった項目が高めに出る傾向にあります。

また採用は本記事の冒頭に触れている通り、経営にかかわる事項でもあるため、自らの成果によって会社の将来に影響が出るといった強烈な当事者意識を持った人材が求められます。本来経営者の業務である”採用”を任されるポジションであることを考えれば当然かもしれません。

異業種からの転職も可能

人事採用職は、一見専門性が高そうですが実は色々な職種との互換性も見られます。代表例でいうと営業職です。
発信力と受信力の双方が必要となるBtoBの法人営業担当者は、特に親和性は高いでしょう。

また鋭い洞察力を必要とするマーケティング職に適性がある方にも人事採用職の素質があると言えそうです。

一般的に『即戦力が欲しい』という考え方から、実務経験のある採用担当にこだわる企業も、多く存在します。人事採用職の求人情報には経験者歓迎という記載もよく目にします。しかし、本記事で取り上げたような「資質」があり、人事採用職に興味が強ければ、現在未経験であったとしても、一度チャレンジしてみる価値はあるかも知れません。