エグゼクティブを目指すためのキャリア設計

ビジネスをリードする経営層のエグゼクティブになるには、20代・30代の継続的な努力が不可欠です。役員の選抜では、ミドルマネージャーの段階で、業績とプロセスの両面に優れた成果を残すことが問われます。”優れた”という判断要素のひとつとして、適切な年次に業績を残していることが重視されます。

つまり、経営者を目指すビジネスパーソンにとって、ステップとなる役職を逆算して自ら期限を設定して動くことが何より重要になるのです。

「30代中盤でライン職マネージャー」がマイルストーン

言うまでもなく経営者は、企業全体を牽引する役割を持ちます。企業の縮図のポジションとして、ライン職の部長級マネージャーが上級管理職への試金石となります。

20代後半〜30代中盤にかけて、課長級のマネージャー補佐からラインの部長へと、着実に本線を進んでいくことがエグゼクティブへの第一歩と言えます。

ライン管理職には、企業のミニチュアのような環境の中で「経営者と同じようなパフォーマンスを発揮できるか?」という期待をかけられます。

部長ポジションで成果を認められれば、本部長・事業部長・執行役員と管掌の範囲を順次広げていき、より全社的に直面する市場環境に向けて能力を拡張することになります。

社長・番頭・参謀

経営者には、組織を統率する「人間的成熟度」と的確な状況判断を支える「明晰な思考力」という2つのリーダーシップ資質が求められます。とくに企業トップを務める社長の場合には、2つのうちいずれかでも欠けていると企業経営に影響が出ます。

そのため、この2つのポータブルスキルをミドルマネジメントの段階でいかに高められるかが、その後の経営力に直結します。

経営ボードもチームであるため、最終的には社長タイプの人物だけではなく、「人間的成熟度」で牽引する番頭タイプや、「明晰な思考力」を武器に戦略の舵取りを務める参謀タイプの人物も要職の一端を担うことになります。

若くして天下国家を論じる人物

国内トップグループの役員経験者に経営者の資質をインタビューした際に「若い頃から天下国家を論じる人物であった方が良い」という特徴的な指摘がありました。

経営者の器に足る人物とは、年次が進むにつれ企業の現状に合わせたより具体的な判断能力を獲得していくものですが、キャリアをスタートした20代では未来の社会のあるべき姿を提示するような言動が見られると言います。

経営判断とは、市場環境・社会環境の中で自社と自分がどのようにあるべきかを決めていく活動を指しています。より洗練された判断力を発揮するためには、外界に関する広い教養やマクロな歴史認識にもとづいて自らの立ち位置を俯瞰的に設定できる素養が欠かせません。

また、より上位のポジションに進むほど困難な目標を達成し切る能力が求められますが、そのための原動力は世界をスタンダードと自分を比較したときに生まれる高い志に支えられています。優れた経営者が教養に通じた人物であることは、このような背景によるものと考えられます。

結果を残したい人ほどキャリア設計が重要に

経営者になるためには、プレーヤーとしての個別スキルの比重よりもミドルマネージャーに就いてからのポータブルスキルの方が重要です。その一方で、どの組織もおおむねピラミッド構造になっているため、より上位のポジションになるほど枠の数は限られます。GEやP&Gなどのようにリーダーシップ育成で著名な一部のグローバル企業では能力評価をもとにした人事異動を積極的に実践していますが、多くの大企業では年功などの論功行賞の割合が大きいことが一般的です。

とくに近年の日本企業では、全般的な高齢化や構造不況の影響により若い世代の昇進ペースが減退しつつあります。人材プールの新陳代謝の低下は組織の経営力の観点でも課題となりますが、各個人の観点から見るとより大きな影響があります。30代の中盤以降のキャリアでは、それまでの実績をもとに評価されるため、適切なタイミングで責任のあるポジションを得ることは重要な指標となります。

どのようなケースでも、プレーヤーのポジションから上級管理職に抜擢されることはほぼありません。一例として、大企業で課長昇進まで10年以上かかるよりも、ベンチャー企業でプレイングマネジャーとして経営者とともに働く方が経営者になるための実力は身につくと言えます。マイルストーンを設定し、数年スパンの年次で目標とするマネジメントの役割を担うことが、最終的な経営者・上級管理職への近道となります。

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