ビッグファイブの精度に関する丁寧な説明
ビッグファイブの要点は、人が知覚しやすい順に抽出されたパラメータであることです。
ビッグファイブ以外の性格尺度では、スコアが人の感覚にフィットしていないため、解釈が一致しないネックがありました。性格の解釈を一致させた点が、ビッグファイブの科学的ブレークスルーです。
これにより、他者が直感的にスコアを検証したり、知人・同僚による相互評価も可能になりました。
人格・性格について、複数の人の意見が一致しうるということじたいが、誰しも他者の性格を把握する能力を持っていることを示しています。
ビッグファイブの評価精度を示す好例として、現に「自己認識が狂っている人物」のケースがあります。
この類型では、自己評価スコアと実人物の様子が乖離します。これはDecider特有の問題ではなく、あらゆる性格検査で結果が狂います。
従来の分析手法では、スコアが指している人物像が収束せず、鵜のみにせざるを得ない面があります。
検証できないがゆえに、"本当の"スコアを算出して欲しいという過度な期待が生じます。
自己認識の狂いは一種の混乱であり、何らかの収束したスコアをとるという見方じたいが誤りと言えます。
ビッグファイブに沿って評価した場合、実人物とスコアの不一致は、面接官が強い違和感として知覚します。「自分のことは本人にしか分からない」という見方も根づよい誤解です。
自己認識が狂っている人の割合は相当マイナーであり、不一致をマイナス評価とすることで、実務を円滑に進められます。
人には違いや差分を強く感知する力があります。自己評価を表明することと、実際の言動という2系統のサンプルを持つことは"違い"の感知を活用しやすくする効果があります。
そしてその効果は、自他ともに知覚できる構造というビッグファイブの研究業績があればこその力です。