【活躍人材の採用】営業の採用基準

「知識・スキル」の採用基準は95%不要
採用基準の決め方でも触れましたが、採用基準(コンピテンシー)とは「”仕事ができる(成果を上げる)”ために必要な能力や行動のセットのこと」で、「知識・スキル」と「性格特性」の2つに大分することができます。 営業においては、“仕事ができる”=“売上(利益)を作れる”になります。 では売上を作れる人材には、どのような特徴があるのか?
  • 業界知識、営業経験に長けた人?
  • 顧客に可愛がられやすい人?
  • 鉄砲玉のようにガンガン飛び込める人?
  • コミュニケーションスキルの高い人?
  • イケメン・美女?
  • ストレス耐性が高い人?
  • パワーポイントなどで提案資料を上手く作れる人?
  • ロジカルな人?
全て採用コンサルで関わったクライアント企業で聞いた採用基準ですが、この中に決定的な正解はありません。 営業のコンピテンシーを決めるには2つのステップが必要になります。
①「性格特性」のコンピテンシーを決める
②基準値を明確にする

まずは第1ステップについて、なぜ「性格特性」だけに絞っているのか触れておきましょう。 「知識・スキル」と「性格特性」では優先順位が全く異なるからです。詳細は次章で説明しますが、「知識・スキル」は35歳以上を対象とした管理職候補ポジションなどの即戦力キャリア採用のみ、コンピテンシーを決めましょう。 20代や30代前半の営業職採用であれば、経験者・未経験者問わず不要です。候補者の過去の業績がいくら素晴らしくても、会社で成果を上げるかどうかは全く別問題だからです。

営業の採用では「性格特性」が最重要基準

特に中途採用では「知識・スキル」に捉われがちですが、実は「性格特性」の方が圧倒的に重要です。 簡単なイメージ図で説明しましょう。
成果を出す営業の採用基準
図のように、人は素養と言われる「性格特性(キャラクター)」をベースに仕事を介して成長し、「知識・スキル」を身に着け、「成果」を生み出します。 つまり、どんなに素晴らしい「知識・スキル」(枝葉)があったとしても、「性格特性」(根っこ)が腐っていては、成果(果実)を生み出すことはありません。 逆に、根っこが素晴らしく魅力的であれば、枝葉を入社当初に持ち合わせていなくても直にすくすくと成長し、果実を実らせます。 ここに、営業の採用現場でよく起こっている問題の原因があるのです。 どんなに業界経験や営業経験があり、面接や履歴書・職務経歴書で素晴らしい実績を語ったとしても、根っこが腐っている人材が入社後に活躍する可能性はゼロパーセントです。 社会人経験の無い新卒採用では当然ですが、中途採用でも原理は変わりません。 必ず「性格特性」に関するコンピテンシーを策定しましょう。 次章では、活躍する営業の「性格特性」に関するコンピテンシーを説明します。

営業でこだわるべきは「ストレス耐性」「活動意欲」「人好き」の3つ

我々がコンサルタントとして関わった企業で、必ず最初に行うのが“活躍人材”と“イマイチ人材”の比較です。社員の中からそれぞれ5名ずつ選んで、性格特性について比較するのが一般的です。 その調査結果から共通した営業のコンピテンシーは3つに絞られました。
  • ストレス耐性が高い
  • 稼ぎたい、活動意欲が高い
  • 人が好き、人の助けになりたい思いがある
この3要素は、精神医学研究でも統計的にそれぞれに相関性は無いとされており、それぞれに能力確認の必要性があります。 他にも「成長意欲」「当事者意識」「ベンチャーマインド」といった攻めの要素から、「他人のせいにしない」「法令順守ができるか」「素直さ」といった守りの要素まで多種多様な採用基準を設けていました。 実は、上記3つの能力の高さとこれらの能力の高さは関係しているため、わざわざ能力を見る必要はありません。 営業のコンピテンシーは「ストレス耐性」「活動意欲」「人好き」に絞ってしまいましょう。 ただし、コンサルタント営業(一般的な提案営業よりもハイレイヤー)については全く異なり、「活動意欲」と「人好き」レベルは低くても全く問題ありません。その代わりに「論理的思考」と「計画性」が必要になります。

基準値は「主観指標」と「客観指標」の両輪で決める

第1章で挙げた第2ステップ「基準値を明確にする」方法についてご説明します。 採用基準を決めているのに
  • 社内の目線が合わない
  • 社長や営業マネージャーなど面接官の気分で合否が決まる
  • 入社した人材の成果の出方にブレがある
といった問題を抱えている企業も多く存在しています。それは、採用基準を決めることに満足してしまい基準値を定めていないことに原因があります。 基準値作りは、面接による「主観指標」と適性検査・性格検査による「客観指標」の両方を用いましょう。なぜ客観指標が必要なのか。 面接力に過信している企業に限ってこんな事が起こっています。
  • 明るく前向きなキャラと思ったら、あっさりと折れてすぐに辞めてしまった
  • やる気満々に見えたのに、パフォーマンスだけで全然動かない
  • 客の言いなりになり過ぎて、会社に与える損害の方が膨らんできている
いずれも面接官が「ストレス耐性」「活動意欲」「人好き」という素養について“高い”と判断し、期待値高く入社した営業マンのエピソードです。 「ストレス耐性」を面接で見抜くことは至難です。(面接でストレス耐性を見抜くテクニックはコチラ) 「活動意欲」は面接で低い人を除くのは簡単ですが、実は意欲が高すぎると精神医学でいう「演技性パーソナリティ障害」と結びつき、言うだけでやらない社員化します。
「人好き」も同様に低い人を面接選考で見送ることは可能ですが、人好きが過剰だと「依存性パーソナリティ障害」との関連性が指摘されています。つまり、自己が他人に埋没してしまいとことん流され続けてしまうのです。「顧客に対して●●と言って断って来い」と指示しても、強く言うことが出来ないため押し流されて帰ってきてしまい問題化します。
このように、“程よく高いレベル”を基準値として決める必要があり面接(ただでさえ複数人関わる)だけでは困難です。 そこで選考のサポートとして適性検査による「客観指標」を導入しましょう。 スコアで出てくるため自社の基準値を簡単に決めることができます。
クラウド適性検査 Decider では、経営者や営業トップしかわからなかった“営業力”もスコア化しているため、人事担当者など採用に関わる全ての人が膝を付け合わせて採用の可否を議論することもできます。