コンサルタント転職で活躍する人物特性

コンサルタント適性は業務推進力に表れる

コンサルタントに求められる強みのうち、もっとも特徴的な資質は「業務推進力」です。
業務推進力は強み・弱みが比較的明確に別れる指標であるため、転職の際に参考指標として使いやすい項目です。

コンサルティングファームには、戦略系・会計系・IT系などの専門業務分野がありますが、どの分野にも共通して求められるのは、複雑な情報を分析したうえで総合する情報処理能力です。
そのため「業務推進力」が総合的に高いほど、基礎的なコンサルタント適性も高いと言えます。とくに著名ファーム出身者の例を小項目レベルで分析すると「多変数対応力」が顕著に高い結果を示しています。

キャラクター・対人特性の指標は中庸の傾向

コンサルタントのキャラクター分析をすると、業務推進力以外には突出した項目が少なく中庸的な結果になっている傾向があり、「特徴に乏しいことが特徴」とも言えます。

これはコンサルタント職種に求められるキャラクター要件というよりも、キャラクターのはっきりした人たちが他の職種を志向する結果、消去法的に中庸ゾーンにコンサルティング業界のクラスターができていると考えられます。

強いて言えば、「やりきる力」または「当事者意識」のいずれかの項目が高めの値となる傾向がありますが、これも上限値を示すことはあまりありません。
コンサルティングの仕事は比較的ハードワークであるため、チームに対する責任感か、または個人の資質としての粘り強さや達成意欲の高さが原動力になっていると考えられます。

長期的な視点の精神的レジリエンスも重要な要素

コンサルタントとして長く活躍していくために、精神的なタフさも重要になります。
コンサルティング業界を志望する方は根は真面目なキャラクターであることが多く、責任意識が高い一方で自己肯定感やしなやかさ、情緒が平均より低い傾向があります。
これらの項目は生来のキャラクターであることも多く、ハードなプロジェクト環境でメンタル面の不調に注意する必要があります。

小項目のうち、ストレス耐性が高ければ比較的うまく対処できていると考えられますが、それ以外のケースではとくに「健康」の項目が高めに出ていないと危険な兆候があると言えます。

「健康意識」や「体調管理」は比較的行動習慣で変えやすい項目であるため、体調の変化をきっかけとした対処により、精神的なレジリエンスを獲得することが有効な処方となります。

ポストコンサルティング転職の考え方

先の長いキャリアを考えると、コンサルタントという職業は往々にして終着駅ではありません。
典型的なコンサルティングファームは、”アップ・オア・アウト” と言われるように幹部ポジションが少なく、コンサルタントに転身したときから、さらなる転職が前提となってきます。
ファームの中で出世していくケースでは、上層部ほど案件獲得のためのセールス・リレーションの能力が問われるようになってきます。

これまでに解説したような”コンサルタント気質”のキャラクター特性を持つ方の場合、フィット感の高いポストコンサル転職は、経営企画職など事業会社 管理部門のミドルマネジメント層〜プレイイングマネージャー職となります。(経営企画の転職については「[経営企画部への転職、6つのポイント][2](仕事と役割、キャリアパスの実態とは?)」で解説しています)

じっさいに戦略ファームのよくあるポストコンサル転職の典型的な成功シナリオとして、外資クライアント企業の管理マネージャーに乞われて転身するケースが挙げられます。

コンサルタントから起業を目指す、というようなキャリアプランを聞くこともありますが、最終的に起業して成功する人物類型は「業務推進力」以外の面で何らかの突出した強みを持つアントレプレナー気質を持っていることが多い点には注意が必要です。

コンサルタントとしての実績を積み上げて独立ファームを立てるケースであれば現実的といえますが、それ以外のベンチャーを志望するのであれば初期フェーズのベンチャーにジョインするか、アントレプレナー気質に優れた仲間を探すことも検討すべきでしょう。
例外的に、起業志向のコンサルタントと相性の良い企業としてDeNAが挙げられます。

また、戦略ファームのコンサルタントにインタビューすると「戦略コンサルタントの強みは50を100にすることであって、ゼロを1にしたり1を10にすることは難しい」といいます。
このことからも、コンサルタント型のビジネスマンが一番持ち味を活かせるのは中堅以上の企業と言えます。

齋藤廣達氏インタビュー