決定版。営業職の転職で活躍する人物特性

本記事では、営業職で活躍する人物の強みとキャラクター特性をご紹介します。

営業職について、詳しく知りたい方は 「【完全版】営業とは何か―営業の本質と真髄、その全てを学ぶ」 を参考にしてみてください。きっと新しい営業の考え方を知ることが出来ます。

業績を生み出す力は「対人特性×達成力」で決まる

高い営業成績を上げている営業マンの強みを分析すると、複数分野の指標のセットになっています。
指標のカテゴリーを大きく分類すると、1つひとつの商談獲得力に影響する”対人特性”と、機会の大きい案件に次々あたっていく”達成力”の2つに分かれます。
“対人特性”を評価する指標としては「洞察力」「傾聴力」「チームワーク」「自己肯定感」「当事者意識」「巻き込む力」の6つの力があり、”達成力”の評価は「見通す力」「柔軟性」「やりきる力」「業務推進力」「決断力」の5つで測れます。

これらの指標はすべての値が一様に高いということはなく、強みの組み合わせによりいくつかのタイプに分かれます。
ただし、これらの計11分類のうちどれかが著しく欠けている場合は、より高いステージを狙う上でボトルネックになると考えられます。

営業適性の高い人ほど他の職種との互換性は低い傾向

営業マンとして華々しい業績を上げていたスタープレーヤーが、昇進や別の職種に転職したら期待したほど活躍できなかった、という事例は随所で見られます。
これは、セールスパーソンとしての強みが、他の職種に求められる強みと互換性が低いことによります。

先ほどの11分野の強みを総合すると、他者主体のコミュニケーション特性と、ある種盲目的ともいえる行動力が営業職の活躍人材の要件になっています。

マネジメント層や他の職種では、これらの特性よりも状況分析力と自己主体のコミュニケーション特性が必要になることが多く、顧客第一主義の人にとってはメンタル面の厳しさが課題となります。
とくに対人キャラクターを武器に成績を出してきた人が転身する際には今身につけていないポータブルスキルを意識的に獲得する必要があります。

獲得能力を左右する対人コミュニケーション能力

営業活動は顧客や見込み客とのコミュニケーションからなりたっているため、対人特性が個別の案件を獲得する能力の高さに影響しています。

コミュニケーションスタイルは「洞察力」と「巻き込む力」の割合で測れます。トップ営業マンの場合、この2つの指標が10段階中7以上を示しているケースが多く見られます。

「洞察力」は顧客の情報を受信する集中力を表しており、営業活動では高ければ高いほど自然に業績を上げやすくなります。
また、「洞察力」や「傾聴力」などの受信に関するコミュニケーション力が高い人は、 コーチ・エィのエグゼクティブコーチへの転職 という意外な選択肢もあります。

一方、「巻き込む力」は売り込む発信力に影響する指標で、小項目の「交渉力」または「発信力」のいずれかが高い人はクロージング力を発揮できます。交渉力と発信力は各個人によってバランスが異なり、交渉力が目立って高いタフ・ネゴシエイター型の営業スタイルもあります。

「洞察力」と「巻き込む力」の一方が平均以下の場合は、営業スタイルに課題があります。
「洞察力」が欠けているケースでは”押し売り型”になる傾向があり、商品力の強い売り切り型の商品を扱っている場合は結果を出せますが、新規開拓一辺倒の焼き畑営業になりがちな点と、コンサルティングやサポートを必要とする提案型の商品や法人営業になると売れないといった課題が浮上します。

このタイプに当てはまる場合は、転職先の検討には注意が必要です。意識の切り替えをしないまま商材の特性が変わると、結果がついてこなくなって悩む、といった展開になりかねません。

また、逆に「巻き込む力」に欠けている場合は、聞いてばかりのカウンセラー型になってしまい、活動量を増やしても成果を刈り取れない、という課題に直面します。
このタイプに当てはまる場合は、セールストークの基本を身につけることが有効です。同僚が売れている商品であれば売れるポイントが定まっているため、まずは商品別の特長を的確に把握することが重要です。商談では、売り込みのチラシを持参して読み上げる、などの初歩的な発信行動から始めることが有効です。

営業適性を支えるベース特性

活躍人材が持つ強みのうち、対人ベース特性の傾向として「心聴力」「チームワーク」が高いことも特徴的です。チームワークの個別指標を細かく見ると、とくに「積極的関与」の高さが目立ち、他者との心理的距離感の近さが業績を支えている傾向が読みとれます。

また、自分自身の態度を表す特性として「自己肯定感」の「自信」と、「当事者意識」の「責任行動」が高い人は平均におさまらない成長株の人材の可能性が高く、個人レベルのリーダーシップが営業活動に好影響をもたらす素質要因になっているといえます。

“勝てる”営業活動を生み出す達成力

営業能力のうち、中堅クラス以上で成果の差を分けるのは、個別の案件能力というよりもむしろ効果的な案件数の勝負、アタック活動の設計です。

トップクラスの営業マンは例外なく独自の見方をもって活動を設計しています。
この独自の営業観を生み出している”強み”として、「しなやかさ」や「情緒」、「業務推進力」が高い傾向が比較的共通しています。

活躍しているセールスマンには、「しなやかさ」の「変化適応力」が高い人が多く見られます。この強みを持つ人は、無数の活動の中から新しい着眼点を見出す可能性が高く、環境の変化にいち早く適応したり他の営業マンとは異なるチャンスにたどりつきやすくなります。

また、独自の視点で多くの活動を続けられる人は「情緒」の「外的影響性」が高く、周囲が悲観的な見方をしていても一人だけ成果をあげ続けることがあります。この類型のバリエーションとしては、代わりに「ストレス耐性」が高いタイプの人があり、この場合はより根性主体でやり切る印象が強くなります。
なお、営業型の人は「感情制御」が低い傾向が強く「情緒」の総合点が突出して高い結果になるケースは稀です。

そして「業務推進力」が高い人は、多数の営業活動の中から見込みの高い活動の優先度を上げることに優れており、高いほど良いと言えます。
ただし、業務推進力が突出して高い人はコンサルタントタイプになることが多いため、営業職種のカテゴリーでは10段階中7程度の得点が上位グループになっています。

活動量の観点では、「決断力」と「やりきる力」の高さがハードワークを支えています。
「やりきる力」は「達成意欲」が優勢な狩猟型のタイプと、「粘り強さ」が優勢の農耕型のタイプに分かれますが、活動量が多ければ成果が増えるという観点からは、どちらかがより優れているということはないと考えられます。

先述のとおり対人力で成果を上げてきた人は業種・業態ごとの相性があり転職時には注意が必要ですが、これらの「しなやかさ」「情緒」「業務推進力」「やりきる力」に強みを持つ人は異業種に転職しても比較的成果を出しやすい傾向があります。