転職もあり?管理職になりたくない、降りたい、辞めたいときの考え方

管理職への昇進。
昔のサラリーマンなら大喜びで祝杯をあげ、家族含めて歓喜するところですが、今は管理職になりたくないという人が急増しています。

草食系の男性や、元来出世意欲がなかったり家庭との両立を気にする女性。
若い世代は管理職を避けて通り、実際に管理職になった人からは降りたい、辞めたいという声も・・・

ここでは、管理職になりたくない、またはなってしまったけど降りたい、辞めたいと思ったときの対応策をお伝えしたいと思います。

1.管理職は損なポジション?先行するネガティブイメージ

「管理職になりたくない」という人が増えている背景には、現代に特有の草食化や、いわゆる「ゆとり世代」の特性も関連していますが、一番の要因はおそらく 「管理職」につきまとうネガティブイメージ によるものでしょう。若い世代は特に、実際にはあまり知らないことでも何となく聞いたことがあるイメージだけで知っているような気になり、それが全てだと思い込む節があります。
例えば、以下のような話を聞きかじっただけで自分の中で印象を作り上げ、それを事実として受け止めたりしていませんか?

● 割に合わない!
 責任も重くなる割に残業代がつかない、手当があっても少ないなど割に合わない
● ストレスが大きい!
 上司と部下の板挟み、トラブルやクレームへの処理でストレス満載
● 仕事がつまらない!
 現場から離れ、部下への指示出しと社内会議ばかりではやりがいがない
● 尊敬できない!
仕事は部下に押し付け、自分は大した成果を上げていない 

これらは「管理職」のイメージとしてよく語られるものですが、いずれも部分的には事実であり、また一方で事実とは若干異なる部分もあります。詳細は別記事で解説しますが、これから管理職になろうという方やなる可能性のある方については、イメージ先行で「なりたくない」と決めつけずに実態を自分でよく見極めていただきたいと思います。

※  管理職に必要な能力・スキル・資質とは│転職前にあなたの適性を簡単チェック!

2.管理職になりたくない・・・昇進を断りたい人へ

さて、その上でも様々な理由や事情で「管理職になりたくない」という明確な意思をお持ちの方もいらっしゃると思います。
課長昇進に近いポジションにいる場合、また実際に管理職への打診を受けてしまった場合で、昇進を断りたいときはどうすればよいのでしょうか。

管理職に「ならない」という選択肢

まず、目先だけの判断だけで言えばいろいろ考えなくても済む楽な方法として、管理職に「ならない」という選択肢があります。
主に昇進を断る、あるいは断れないなら転職するという手段です。

特に女性については、管理職登用・役員登用が活発になっている昨今ですが、職種・業種によっては育児や家庭との両立を考えると実質的に管理職に就くことが無理な場合も多々あります。また、男女かかわらず事情があって管理職としての職務を全うすることが難しい境遇にある方も、管理職への昇進を断らざるを得ないのは仕方のないことです。

但し、そのような事情がないにもかかわらず「断る」という選択をする場合にはその影響によるリスクを考える必要があります。

管理職に「ならない」場合の将来のキャリアは見えているか

特段の事情はないけれど「責任を負いたくない」「リーダーを張るキャラではない」「荷が重い」など、自信の欠如や責任の回避を理由に管理職を辞退するのであれば、 辞退する・断るというその行為が将来のキャリアに及ぼす影響については考える必要があります。

一点目として、同じ会社に居続ける限り、一度断った管理職の座はよほどのことがなければ自分に戻ってくることはありません。

昇進に消極的であることは自分の成長にも消極的であることにつながるため、 将来を期待されることもなくなります。
つまり、現在のポジションでもそれ以上の成長機会を与えられることはほぼなく、ある種の烙印を押された状態となるわけです。
利益の拡大や事業の発展を目的とする普通の企業においては当然ながらその人材にも成長を求めるのであって、「今のまま」でずっといることはできないのです。

二点目として、仮に転職した場合ですが、転職先においても結局「管理職になりたくない」というその思いは恐らく変わらないのでしょう。環境が変わることで突然意識が変わることもあるため一概には言えませんが、管理職になることから逃げるために転職をしたとしても本質的な解決にはなりません。
転職先でも管理職への道が迫ってきたら更に転職を繰り返すのでしょうか。
年齢的にもキャリアとしてもそれでは限界がありますし、 将来の収入面にも間違いなく大きな影響があります。

若いうちなら避けて通ることも多少は可能ですが、いずれどこかで真剣に考える必要は出てくるでしょう。
いつまでも「ほどほど」が通用するわけではありません。
“いいとこどり”はできないことを肝に銘じましょう。

3.管理職を降りたい・・・降格したい人へ

次は少し視点を変えて、すでに管理職になっているが「降りたい」という人。
自ら望んで管理職になったけど思っていたより大変だった、しぶしぶ管理職になったもののやっぱり思った通り自分には向いていなかった、など、自信をなくしたり現実と理想のギャップに苦悩したりしているのではないでしょうか。

初めての管理職は誰でも苦労する

管理職を「降りたい」という人には、初めて管理職になった人が多いのではないかと思います。そこでまずお伝えしたいのは、初めての管理職は誰しも苦労するということです。

これまでも主任やチームリーダーとして部下を引っ張ってきた経験があったとしても、やはりプレイヤーの一員として頑張ってきたこれまでの実績と、管理職になってから求められるものでは性質が大きく異なるのです。
着任早々は、現場に出ていた頃の方が楽しかった、という感想を抱く方も少なくありません。特にプレイヤーとして優秀だった人ほど現場の仕事を手放すことには抵抗があり、部下に任せること、部下の指導や管理に徹することができず、意識を切り替えることが難しいものなのです。

また、もちろん部下のマネジメントだって、誰もが一朝一夕にできるものではありません。
そこで多少躓いたからと言って「降りたい」というのは少々早計ではないでしょうか。

※部下にうつ病の兆候が見られたら「 部下がうつ病になった時の兆候と正しい対応 」が参考になります。

まずは 管理職の仕事と役割 を本当に理解できていて、それを自分のこととして意識できているか、本気で管理職としての責務を果たすチャレンジをしてきたかをまずは考えてみましょう。

管理職として成功するポイントは知っているか

管理職のやるべきことはわかっている、努力はしてみたけどできない ―― そんな気持ちから「降りたい」という人もいます。
そんな方は、努力の仕方を間違っている可能性もあります。

例えば、部下との関係の構築、部下への指示出しと方針決め、部署としての団結、予算に見合う実績の達成・・・管理職の仕事はどれもただ闇雲に「頑張る」ことで達成できるものではありません。

新任管理職には特に、気負いすぎて空回りする現象もよく見受けられます。
自分で抱いている 「管理職とはこうあるべき」という固定概念に縛られすぎず、客観的かつ俯瞰的に自分や部下、部署全体の状況を見極めた上で都度相応の動き方をする ことが必要です。
マネジメントをはじめとする管理職の仕事の仕方に絶対的な正解となる回答は存在しません。自らの価値観と裁量をもって動くことができるのも管理職の大きなメリットのひとつ。一度立ち止まって、成功への道筋を描きなおしてみるのも有効な手段かもしれません。

それでもだめなら降格願いや転職もひとつの道

最後に、とにかく全てやりつくしたけれどやっぱりもう続けられない、という人に。
会社や組織の状況によって希望降格制度はあったりなかったりで聞き入れられるかどうかは微妙なところですが、降格願いを出すことも最終手段としてはあります。

ただし、これは本当に最終手段です。
管理職への昇進を断るのと同じで、 「諦めた人」「努力することを途中で放棄した人」「能力不足だった人」 とレッテルを貼られてしまうことで、それまでに成し遂げてきた一般社員としての活躍も叶わなくなる場合がほとんどです。
逆に、最終手段があることを安心材料に頑張ってみることもいいかもしれませんね。
なお、会社によっては、マネジメントを行わない「専門職」的なポジションが用意されていることもあり、そちらへの転向が可能なこともありますが、それも叶わない場合などは転職を考えるのもひとつの道です。

管理職とひとくちに言っても会社によってその在り方はさまざまで、新しい組織なら管理職の仕事が肌に合うことも往々にしてあるものです。
例えば大企業と中小企業など 規模の違いによる管理職の役割の違い は大きく、規模が同じでもその会社の社風や方針によっても働き方はだいぶ違ってきます。

4.辞めたい・・・今の会社で管理職を続けたくない人へ

最後に、管理職の仕事自体に大きな不満はないけれど、今の会社では自分の目指す管理職像が実現できない、上のポジションが詰まっていてこれ以上の昇進・成長が見込めないなど、会社側の体制・組織による理由で「辞めたい」という人へ。

まず、会社に対する不満や悩みが、自分がプレイヤー時代の意識をそのまま引きずっているがゆえの、あるいは管理職としての資質や客観的な目線を欠くことによるものでないことは重々確認するべきです。

その上で、自身の努力だけでは状況の改善ができないことがはっきりしているのであれば、転職に向けて具体的に行動を起こしましょう。

ビズリーチのような、職歴・履歴書(通称レジュメ)を登録して待つだけのスカウトサービス(自分の所属している会社からは、自分のレジュメ検索できないようになってるようです)も併せて利用するのも一つです。

会社によって管理職もいろいろ。自分に合った会社を見つけよう

前述のとおり、会社によって管理職の在り方には会社の数だけバラエティがあります。
自分の考えるマネジメントや組織運営、自分の望む成長ができる会社を見つけ、キャリアアップにつなげましょう。
但し、会社ごとの違いを自身で見極め、自分に合う転職先を探し出すことは本人の力のみでは非常に難しいものです。
合うと思って決めた会社で入社後のギャップに苦しんだり、果てには前職の方がよかったと後悔したり。

マネジメントに行くか、プレイングマネージャーとなるか

なお、予備知識として、管理職はその仕事内容と役割から大きく「プレイングマネージャー」と「マネジングマネージャー」の二種類に分けることができます。
後者はいわば旧来からの管理職を指し、基本的にマネジメントに特化するマネージャー。
大手企業に多いスタイルで、こちらの場合は特にマネジメント適性が高いことが求められます。

そして、前者はプレイヤーを兼ねるマネージャー。
適性や能力、業界経験にもよりますが、転職する場合はどちらかと言えばプレイングマネージャー、あるいは管理職候補、幹部候補として採用され、一旦プレイヤーの段階を踏んだ上での管理職昇進の方がスムーズにいく場合が多いです。
なぜなら、その会社での現場経験のないマネージャーはプレイヤーを指揮監督することがいろいろな面で難しく、かつ部下からの信頼を得づらいためです。
部下は外から入ってくるマネージャーを非常に厳しい目で見てきます。部下がしっかりついていけるようなマネージャーとなるためには、やはり現場を理解し、経験していることが重要と言わざるを得ません。

管理職が簡単な仕事でないのは当然のことで、誰しも一度、二度ならず悩みを抱え、立ち止まるものです。もうそれなりのキャリアなのだから、と一人で解決しようとせず、時には周りの上司や同僚、そしてときには部下にも話を聞いてみることは悩みの解決に有効な手段です。

みなさまの転職、キャリア形成が成功されることを心よりお祈りいたします。

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